第157話 気づいたこと
「やっぱり、あっくんの傍は凄く安心する……」
膝の上の可愛い琥珀を堪能していると、そんな事をボソリと呟く琥珀。
「そうだね。俺も琥珀と居る時が一番安らいでるかもしれないね」
「えへへ……一緒だね」
……あー、もう!些細な仕草一つで可愛いを極めてるの反則すぎるでしょ!思わず強く抱きしめてお持ち帰りしたくなるけど、この素晴らしい状況を楽しみたい気持ちもあるので何とかぐっと堪えると、俺は琥珀を包み込むように抱きしめてから尋ねる。
「琥珀、林間学校は楽しめてる?」
「うん。黒華ちゃんも班の人も優しいから、楽しいよ」
「それなら良かった」
可愛い彼女と離れ離れの時間が長い(まあ、それでも他クラスにしてはかなりグイグイ接触してる)のは中々に寂しくて辛いものだが、琥珀が学校行事を楽しめているのなら、俺の我儘なんて多少は我慢できるものだ。
だというのに……
「それにね、今日は離れてる時間が多かったけど……こうして、あっくんと会える時間があって、凄く嬉しかったの。今もこうして近くにいて、あっくんに触れられて、凄く凄く幸せなの」
そう言いながら、嬉しそうに抱きついてくる琥珀。
まるで、俺の我慢をわざと解こうとしてそうな琥珀たんだが、素晴らしいことにこれを素でやってのけるのが、我が愛しの姫君琥珀たんなのだ。
「そっか、俺もだよ。琥珀とこうして触れ合える時間は凄く幸せだし、嬉しい。離れていた分、尚更ね」
「えへへ……またあっくんとおんなじ気持ちになってたんだね」
心から喜んでるその様子が実に尊い。そんな琥珀に返事をするようにそっとその小さな手に自分の手を重ねると、琥珀はそれに対して迎えるように優しく握ってくれた。そんな些細なイチャイチャでクスリと笑いあってから、ふと空を見上げて俺は言った。
「琥珀、星空綺麗だよ」
「わぁ……本当だ……」
お互いに互いしか見てなかったから、あまり気にしてなかったけど、実に綺麗に輝く星空がそこにはあった。
「琥珀」
「なあに、あっくん?」
「やっぱり琥珀がそばに居る時が俺は一番幸せみたいだ。離れてる時間が長かったから特にそう感じたんだと思う。だから……明日帰った時はまた一緒に寝ようか」
「……うん」
恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに頷く琥珀は最高に可愛くて、そんな琥珀と夜空を見てイチャイチャしてから見回りの先生に見つからないうちにテントに戻ってそれぞれ寝ることにした。とはいえ、琥珀が居ない状態で俺が熟睡できる訳もなく、気絶から睡眠に切り替わった川藤の隣で体を休めることに専念したのは言うまでもないだろう。
にしても、琥珀が恋しいなぁ……。
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