第22話 閑話:ハイパードライブの仮説

 今回は物語に殆ど関係ないハイパードライブに関する考察なので、スルーして頂いても問題ありません。



「空飛ぶ円盤UFOは、何故丸いのだろう?」


 人類は、近い将来や未来に起こる事を想像するのが好きです。

 そして想像した物を創意工夫して、実際に科学技術の発展等で現実化してきました。


 人類の未来予想は、結構高い確率で実現されてると思います。

 しかしUFOの形には、人類の未来予想としては違和感を感じ得ないのです。



「何故人間は、空飛ぶ円盤UFOを想像してしまったのでしょうか?」


 人類の科学技術の流れから言えば、UFOなどの宇宙船は、水の上を走る船型を想像するのが自然の流れだと思うのです。

 かなりの古い遺跡からも、円盤状の物が空を飛んでいる壁画などが発見されてると聞いたことがあります。


 最近の映画やアニメでは、多く軍艦タイプの宇宙船が描かれてはいますが……。



「宇宙人の乗り物は?」


 と、尋ねられたら。全地球規模で「空飛ぶ円盤UFO」と言う者が多数だと思うのです。


 これらは冷静に考えても、人類の自然な発達に、そぐわないと思います。

つまり実際に、かなりの古い時代から、円盤状の宇宙船が地球を訪れているのではないでしょうか?

 そして円盤状の宇宙船は、外宇宙を航行する為の必要不可欠な形状なのではないでしょうか?



 つまり、宇宙船が円盤状なのは、


「宇宙を超高速移動する為の必須装置が大きなドーナツ状である為に、それを外周に設置せざるを得ない宇宙船の形状は円盤に成ってしまうのではないでしょうか?」



 ● ▽ ●



「タキオン粒子に関する、現状での科学者たちの仮説」


 タキオンは超光速で動くとされる、まだ確認されていない粒子です。光速以下の速度で運動することができず、エネルギーを失えば失うほど加速していくと仮定されています。

 タキオン粒子を活用できれば、情報をはるか遠くまで瞬時に送ることができるし、宇宙船などでワープの様な移動が、可能になると想像されています。

 物質を量子レベルにまで分解し、タキオンに乗せて飛ばし、目的地で再物質化する、『スター・トレック』の転送装置のようなことも出来るかもしれません。

 そしてタキオンは、もうひとつ別の科学の扉をも開きます。超光速で情報や物質を送れるということは、タイムマシンの実現にも直結しているのです。



「タキオン粒子を加速させて噴出させる」


 タキオン粒子蓄積器と加速器は、素粒子ニュートリノと同様に、いずれもドーナツ型に成る筈なので宇宙船の最外周に設置されるでしょう。

 ある程度の直径を越さなければ、素粒子は外周の壁を通り抜けて外に逃げてしまうので、外宇宙を航行する宇宙船は、最小でもドーム球場の様なサイズになるかもしれません。

 真っ直ぐ飛んでいる素粒子ニュートリノは、強磁界に通すことで蓄積器の周回内を飛び続けられるように、軌道をカーブさせる事が出来ますが、タキオン粒子も確認されてはいないものの、同様に蓄積器の周回内を飛び続けている筈なのです。


 タキオン粒子は、宇宙全体に沢山存在していると仮定されていますが、人類はその存在をまだ確認できていません。

 しかし、ハイパードライブを実現する為に、タキオン粒子を発見確認する必要は無いのです。

 宇宙船航行技術を、タキオン粒子が有るものとして、開発する事が可能であるし。しかも我々の周りには、目に見えないタキオン粒子等の素粒子が、無数に飛んでいると想定されています。「エネルギーを得る為に、原油を発見して採掘し運搬する」と言うようなプロセスは必要としないのです。


 既にスーパーカミオカンデ等で、素粒子ニュートリノの存在が確認されていますが、その装置を応用する事で、ハイパードライブの航行技術開発への道は、既に開かれているのです。

 カミオカンデと同等サイズの集積器、蓄積器、加速器を作り、宇宙船の推進力に変換する技術(イオンエンジンの様な物)を開発すれば、今ある地球の科学技術で、既存の宇宙ロケットよりも遥かに早く飛べる宇宙船を作ることが出来るでしょう。

 しかも燃料代はゼロで燃費も良いと想定されます。(小惑星探査機はやぶさに搭載されていたイオンエンジンは、既存のロケットエンジンと比べて燃費が良かったと聞いています)



 蓄積リングと加速器は、容易に物質を通り抜けてしまう素粒子の軌道を曲げて、リングの中に捕え続ける為に円筒形をしています。


 自動車を走らせるガソリンエンジンは、燃料としてガソリンタンクにガソリンを給油して保管していますが、ハイパードライブを宇宙船で実現する為には、タキオン粒子を宇宙船内に捕えて蓄積しておかなければなりません。

 ニュートリノやタキオン等の素粒子は、人間の肉体や地球なども容易に通過してしまうのですが、スーパーカミオカンデ等の研究施設では、ニュートリノを捉えて存在を証明する事に成功しています。

 巨大なドーナツ状の蓄積リング内で、磁力で軌道を変えたニュートリノを外に逃がさない事が出来ているのです。



 さぁ、ハイパードライブを開発して、宇宙へ飛立ちましょう。

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