(四)―2

 そのうしろから福山はアロハの男を捕まえようと手を伸ばした。男は脇へすり抜けてそのまま右方向へと走って行った。福山はその男を追った。

 男は再びビルとビルの隙間の狭い路地に入った。時々福山の方を振り返りながら走って行った。

 福山も路地に入り追っていった。狭い路地は普通に歩くには狭すぎて肩が挟まれてしまう程だったので、男も福山も体を横にして進んで行った。

 やがて男が立ち止まった。左右を見て、こちらを振り返った。どうやら行き止まりのようであった。


(続く)

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