と或る男の述懐。
独身貴族を謳歌する彼の許に、旧友から
特別な 誘い が来る。
リゾートと言うには寂れた海辺のホテルでは
新月を除いた土曜の夜に
不思議なナイト・アクアリウムのショーが
開催されるというのだ。
もう、この出だしから期待させられる
本作品は、作者の端正な筆致も相まって
目眩く御伽の国の不穏な 懐古録 でもある。
謂わば、現在の妻との馴れ初めなのだが、
これが非常に怪奇的だ。
美しいモノは何処か恐ろしく、悍ましさを
秘めている。夢の様な馴れ初めには
夢幻の人魚譚は、実は魚類の生々しい
生態と、神話や御伽噺の神秘を併せ持つ。
本来ならば相容れないモノ達の不穏な
マリアージュの返礼は、如何なる
運命を齎すのだろうか。