五月晴れの夕空
夜になりきれない
五月晴れの夕空の下を
影と遊ぶように歩いていたら
言葉が落ちていた
よく周りを見てみれば
そこらじゅうに
言葉が落ちていて
まるで春の日の
桜が散った頃の地面のようで
心の片隅では望んでいる
誰かの温もりを妄想して
今日は珍しく穏やかな
少し冷えた風が髪を揺らして
ついでに頬を撫でてゆくから
くすぐったくなって
誤魔化すように髪を結んだ
簡単には分からなくて
でも意外と頭の裏側あたりでは分かっていて
でもやっぱり心では掴みきれない
そんな詩を書いているあの人を
何気なく思い出したから
そこらじゅうに落ちている言葉を
落ち葉を集めて燃やすように
夜になりきれない寂しい空へ蹴り上げた
五月晴れの夕空が
いつもより軽く見えるのは
きっと気のせいじゃない
気のせいじゃ、ない、
はず、
なんだ、きっと。
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