第99話 case99

くるみはダンジョンに入った後、アイカの事が気になって仕方なかった。


正直言うと、アイカは嫌いな部類に入るけど、あの様子だと無事でいるのかすらわからず、不安に思いながら歩いていた。


するとセイジが振り返り、くるみに切り出した。


「さっきの女の事は、お前には関係ないことだ」


「そりゃそうだけどさ…」


「鞭を振り回して追放を食らってた女だろ? あいつには、あの道しかないんだよ。 あの様子だと農家は出来ないし、体を売って生きるしかない。 俺らとは違うんだ」


「そりゃそうかもしれないけど…」


「じゃあお前が雇ったらどうだ?」


「いやだ」


「なら気にするな」


思わず即答してしまったくるみは、少し落ち込んだまま、ダンジョンの中を歩いていた。




ダンジョンをクリアした後、ギルドルームに行こうとすると、ギルドルームの前に血だらけのアイカが座っていた。


セイジとノリ、太一の3人は何も気にせずギルドルームの中に入り、亮介も中に入ろうとすると、アイカは亮介の足にしがみついた。


「お願い亮介!! 助けて!! あたし、行くところが無いの!!」


「は? なんで助けなきゃなんねーの? 俺はお前のせいで死にかけたんだぞ? くるみが居なかったら、あの場に居た全員が死んでたんだぞ? わかってんの?」


「わかってる! だから罪を償おうとしてるんじゃない!!」


「本当にわかってるなら、くるみに謝罪するべきなんじゃねぇの?」


アイカはくるみを見た途端、口を閉ざし、拳を握り締めるだけだった。


「ほらな。 やっぱりわかってねぇじゃん。 散々、俺にくるみの悪口を言ってきて、2回も助けて貰ったくせに、久々に会ったと思ったらバカにしやがって… その腐ったプライド何とかなんねーのかよ?」


亮介が説教をしても、アイカは拳を握り締めるだけで、くるみに謝罪をすることも、お礼を言う事もしなかった。


「亮ちゃん、もういいよ。 行こ」


くるみがそう言うと、亮介は苛立ったようにギルドルームに入り、くるみはアイカに声をかけないままに、ギルドルームの中に入って行った。


素材と魔法石を山分けした後、亮介はイライラしたままギルドルームを後にし、くるみもその後を追いかける。


2人がロビーに行くと、再度アイカが亮介に話しかけてきた。


「お願い! 何でもするから助けて!」


「だからぁ、お前なんか雇う気は… あ、ちょっと待った。 そのメイド服、くるみに着せたら考える」


「はぁ!? こんな頭悪そうな服、着れる訳ないでしょ!? バカじゃないの??」


「くるみなら絶対に似合うと思うんだよねぇ。 確実に襲い掛かるけどさぁ」


「誰が?」


「俺が」


「ふざけんな。 絶対に着ない!」


「いやいやいや、たまには俺にサービスしても良いんじゃない?」


「いやだ。 頭湧いてるヤツじゃないと、こんな服は着れません!! 大体、こんな服着るなんて痴女以外にいないじゃん。 それに、こんなにお腹がぶよぶよしてるんだよ? だるんだるんなんだよ? わがままボディどころの騒ぎじゃないんだよ? 普通隠すでしょ?」


「って事は、くるみの腹もぶよついてるって事か?」


くるみは無言でシャツを捲ってお腹を出し、見事なまでにくびれて、割れている腹筋を披露すると、アイカは居た堪れなくなってしまい、その場を逃げ出していた。


亮介はくるみの肩をポンっと叩き「ナイス追い出し」と言い、ニッコリと笑いかけた後、「くるみのセクシーメイド姿見たいなぁ~」とぼやき、くるみは「絶対に嫌!」と言い切っていた。

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