第2章

第52話 case52

ドーンという爆音の後、周囲には粉塵と冷気が立ち込め、何も見えないままでいた。


冷気が落ち着くと同時に、視界に飛び込んだのは、動きが止まったくるみとキマイラの姿。


「やったか!!??」


亮介が叫ぶと、キマイラの体はビキビキと音を立てながら中心から凍り、右半分だけが少し下にずれる。


その直後、キマイラの体は真っ二つに倒れ、少しだけ凍った血の雨を降らせていた。


学校中から歓声が上がると同時に、くるみはその場に顔面から倒れこむ。


「くるみ!!!」


亮介が急いで駆けつけ、くるみを抱き寄せると、くるみは肩で息をしながら「マナポ頂戴」と小さな声で苦しそうに言ってきた。


亮介はくるみにマナポーションを飲ませると、くるみはムクっと立ち上がり、小さなナイフを手に持った後、いそいそとキマイラの体を解体し始める。


「うっひょ~~!! 幻獣の皮GET!!! え?幻獣の宝珠大もある!! 激レアじゃ~ン!! 魔法石もこんなに!! よっしゃ~~~!!!!!」


無邪気な笑顔で血まみれになりながら、解体作業をするくるみを見て、亮介は小さく笑っていた。


「なぁ、いいのか?」


「な~にがぁ~? やば! 幻獣の爪だ!!」


「教師見てるぞ?」


「え?」


くるみは亮介の背後に視線を向け、歩み寄ってくる教師を見ると同時に「あ…」と声を漏らす。


くるみは素材と魔法石を慌ててインベトリにしまった後、ヒーラー用の装備に身を包んだ。


「姫野、話があるからちょっとこい」


「…何のお話でしょうか?」


「どういうことか詳しく聞かせてもらおうか。 それと、あのヤギの角、素材になるぞ」


「マジ!?」


くるみは教師から指さされたヤギの頭を見るなり「マジだ!! やっべ」と言いながらヤギの頭の元へ駆け出す。


亮介は必死に笑いをこらえていると、「お前も来い」と言われてしまった。


教師が「姫野、来い」と言っても、くるみは解体作業を止めず、いそいそと動くばかり。


教師はくるみの首根っこを掴み、顔を合わせて「来・い!」と強く言うと、くるみは突然、右腕を押さえ、「痛い痛い」と痛がりだだした。


「キマイラに引っかかれた右腕が痛むのか?」


教師は冷たい目でくるみを見ながら言うと、くるみは小声で「はい…」と答える。


「さっきまでは痛そうに見えなかったぞ。 特に素材を取り出してる時はな!」


「…時差攻撃的な?」


「んなもんあるか!! 早く来い! 満足いくまで回復魔法かけてやる」


くるみは「ああああああ…」と情けない声を出しながら教師に引きずられ、亮介は笑いながらその後を追いかけていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る