第50話 case50
くるみは魔法球を打った後、風を使って勢いよく飛び出し、思い切りアックスを振りぬこうとすると、ヤギがギリギリと歯ぎしりをし、くるみの体をピタッと止める。
すると次の瞬間、爪を出した前足が、くるみに向かって襲い掛かり、くるみは壁に向かって爆風を起こし、軌道を変えた。
が、くるみの体は壁を突き破り、瓦礫の中に埋もれてしまう。
「痛ぇ… 狭すぎんだろここ…」
顔を上げた瞬間、視界に飛び込んできたのはライオンの爪。
くるみは風を使って勢いよく自分の体を飛ばし、壁を壊しながら教室の前へ移動した。
着地すると同時に、葵が遠くから回復魔法を放ち、くるみの体は緑色の光で包まれ、無数もある擦り傷を徐々に癒していく。
「あんがと。ぼくちゃん」
くるみは前を向いたまま小声で言い、唸り声をあげるキマイラを睨みつけた。
『狭くて満足に動けねぇ… グランド出るか? いや、グランド出るには教室通らなきゃいけないし、みんなが狙われる。 ダンジョン前の広場? ダメだ。 あそこは緊急避難場所になってる。 どうする? どうしたら満足に動ける? …こうなったら ぶち壊すしかないっしょ!!』
くるみはそう思いつき、アックスをハンマーに持ち替えた後、土の魔法で大きな岩を作り上げ、キマイラに向かってフルスイングをする。
大きな岩はキマイラのヤギに向かって一直線に飛んでいき、ヤギは魔法で岩の塊を弾き飛ばし、天井に大きな穴を作り上げた。
『ビンゴ!!』
くるみは何度も野球のノックのように、岩を作り上げてはハンマーでフルスイングをし、ヤギが魔法を使ってそれを弾き飛ばし、壁や天井に大きな穴をあけ続けていた。
くるみは「ラストおおおおお!!!!」と叫びながら大きな岩を打ち上げると、キマイラはそれを弾き飛ばし、天井に大きすぎるくらい大きな穴をあけた。
すると次の瞬間、天井は轟音と共に勢いよく崩れ落ち、キマイラは下敷きになる。
くるみは急いでポーションを飲んで魔力を補充し、アックスに装備を変えて担いだ後、大きく足を開いた。
が、キマイラは動く気配がなく、一部の生徒から「やった?」という声が上がる。
くるみは体勢を崩さないまま「んなもんで死ぬタマじゃねぇだろ? 早く起きろよ」と言いながら体勢を低くすると、キマイラは唸り声を上げながら、ゆっくりと起き上がった。
くるみの声に応えるように、起き上がったキマイラは、咆哮を上げて飛び上がる。
くるみは風で自分の体を飛ばし、キマイラの足元をスライディングし、アックスでキマイラの腹部を切り裂こうとしたが、すれ違い様に爪でひっかかれてしまい、右腕に大きな傷を負い、切り裂くことが出来なかった。
「痛ぇ…」と小声で言いながら顔を上げると、キマイラは教室の方を向いて咆哮を上げ、教室の中からは泣き叫ぶ声が聞こえる。
「こっちじゃボケ」
くるみはそう言いながらアックスを担ぐと、右腕から勢いよく血が噴き出す。
くるみは痛みに堪えながらも、アックスの先端から、氷の塊をマシンガンのように放ち、蛇が付いていたであろう尻尾を凍らせる。
それに気が付いたキマイラは振り返り、激しい咆哮を上げた後、勢いよく飛び上がった。
くるみはスライディングしながらマナポーションを飲み、元の位置に戻る。
教室の中にいたヒーラーたちは、泣き叫んで動揺してしまったのか、くるみを回復をすることはなかった。
『クソ… マジ痛ぇ… 期待通りにはならないか… 教室の方を向くと中を狙うし、ポーションがラス1だし、回復してる余裕はないし、さっさと終わらせないとマジでやばい』
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