第37話 case37

『終わった… 反省文… めんどくさい…』


くるみはそう思いながら俯き、ため息を押し殺していると、背後に誰かがぶつかってきた。


顔を上げると、太一がにっこりと笑い「ごめんね」と言いながら歩き去る。


『ごめんねじゃねーし…』


くるみはそう思いながらポケットの違和感を感じ、ポケットに手を入れると、ブレスらしきものが入っていることに気が付いた。


『たいっちゃん! ナイスすぎる!!!』


すぐにくるみは教師に向かい「お手洗い行ってもいいですか?」と聞く。


すると教師は「ああ。みんなも行きたい奴は行けよ~」と声を上げた。


くるみは急いでトイレの個室に入り、練習用の装備をインベトリに入れる。


『良かったぁ… たいっちゃん、ナイスすぎるでしょ』


そう思いながらトイレを後にし、葵から素材をもらい、装備を作る。


すると、その姿を見ていた教師が「簡単な説明だけなのによくわかるな」と、感心した様子でくるみに話しかけた。


くるみは空笑いをしながら、逃げるようにその場を去り、元居た場所で座り込んでいた。


『変に疲れる…』


そう思いながら教師の話を聞き流していると、教師が「じゃあこれから実際に、ギルドを作ってみるぞ。 10人までなら何人でもいいからな。 ただし、1人1ギルドまでだ。重複してギルドには入れないからな」と声をかける。


『重複して入れない… だと?』


周囲がワイワイ騒ぐ中、くるみは嫌な汗をかいた。


『って事は、セイジ君のギルド、抜けなきゃいけないって事? え? マジやばくね?』


「くるみ、俺らのギルド入らない?」


そう声をかけてきたのは亮介だった。


『これはマズイ!! よりによって王子のギルドでしょ!? どうすりゃいいの!?』


くるみの視線が宙を泳いでいると、亮介は不思議そうな顔をしながら「ん?もしかして、ソロギルド作ろうとしてた?」と聞く。


「え… あ… いや…」


くるみが言葉に困っていると、亮介は「決まり!」と言った後、くるみと葵、孝文と和夫をりつ子の元へ連れて行く。


亮介はりつ子に渡されたパネルに、ギルドメンバーを登録しようとすると、くるみの画面でエラーが起きてしまい、登録することが出来ず。


「あれ? エラー起きた。 せんせー」


亮介は当たり前のように教師を呼び、くるみはより一層嫌な汗をかく。


すると、セイジが教師に近づき、何かを話し始めた。


教師は「ああ。 それもそうだな。 わかった」と言った後、亮介に「お前と姫野は上位職になれる可能性を秘めているから、この人のギルドに入れてもらえ。 能力を短期間で引き出すには、高難易度ダンジョンに挑むのが良い。 3人は別のギルドに入れてもらえ」と話し始めた。


『あっぶね! セイジ君ありがと~!!!』


くるみが心の中で思っていると、セイジがスタスタと近づいてきた。


亮介とくるみにブレスを手渡し、「こっちへ」と言いながら、ギルドルームに案内した。


ギルドルームに入ってすぐ、ノリはくるみの肩を抱き、セイジはくるみに向かい「魔獣の宝珠中、持ってたよな?」と聞く。


「え? あれは炎装備に必要なんだけど…」


「そうか。 そんなにギルド抜けたいのか」


「え!? 違!! は!? 汚くね?」


「取引って言葉を知ってるか? 魔獣の宝珠中で手を打とうと言ってるんだ」


くるみは不貞腐れながら、セイジに素材を渡すと、今度はソファに座っていた太一が「俺、氷獣の牙大が欲しいんだよねぇ。 この前のマンモスの奴。 誰か持ってないかなぁ~。 あれがあれば、氷属性の大盾作れるんだけどなぁ~」と、天井を眺めながら言ってくる。


「あれ使っちゃってないよ?」


「あ、そう。 んじゃ、野獣の牙16個と氷河の石3個でいいや。 足りない分は付けでもいいし。 ブレス持って行ってあげたんだし、誰か譲ってくれないかなぁ~」


「鬼だ…」


くるみはがっかりと肩を落とし、インベトリをチェックする。


『どうなってんだこれ… くるみ、もしかしてギルドメンバーだったのか? でもどうやって? 場所だって今日初めて聞いたろ? 教師が教えるわけないし、どうなってんだ?』


亮介は疑問に思いながら、4人の会話を聞いていた。

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