第31話 case31
セイジに言われた通り、3人は配置について武器を構える。
キマイラは唸り声をあげ、前足で地面を掻いていた。
くるみが隙を伺っていると、ノリの大声が聞こえてきた。
「くるみー!行くよ~! 3 2 1」
「GO」の合図で二人は一斉に飛びかかった。
が、蛇は牙から毒をまき散らし、ノリはバックステップで後方に飛ぶ。
『やば!!!』
くるみがそう思った瞬間、ヤギの角が腹部を貫通し、「がはっ」と言いながら大量の血を吐く。
「姫!!!」
セイジが叫ぶと同時に、くるみの武器は勢いよく蛇の向こうへ跳んでいき、ノリの足元へ。
「ひめえええええええええええ」
ノリの叫び声が辺りに響き渡る。
くるみは必死に右手を掲げ、武器を引き寄せた。
すると、くるみの両刃アックスは、その場で勢いよく回転をはじめ、蛇の胴体を引き裂きながらくるみの手の中に。
切り離された蛇の胴体が、地面に叩きつけられると同時に、ライオンとヤギだけになった魔獣は激しく暴れまくる。
魔獣が暴れれば暴れるほど、くるみの出血は激しくなり、辺りはくるみの血で染まっていった。
セイジは必死に魔法を打ち、ヤギの角を打ち落とそうとするが、暴れまわっているせいでなかなか打ち落とすことが出来ない。
ノリが大きくジャンプをし、角を切り落とそうとしても、片刃アックスは角をかするばかり。
太一は「おりゃああああああああ」と言いながら、盾でライオンの頬を叩きつけると、ヤギは激しく頭を振り、くるみの体はヤギの角から離れ、大木に叩きつけられた後、勢いよく落下。
魔獣はそのままダンジョンの奥に逃げ、3人は急いでくるみに近づいた。
「姫! 姫!! しっかり!!」
ノリが何度呼び掛けても、くるみは全く反応せず。
セイジは回復魔法をくるみにかけ、太一はありったけのポーションを傷口に直接かけるが、くるみはピクリともしなかった。
すると、金色の蝶がヒラヒラと舞い踊り、金色のゲートを開いた。
「行くぞ!」
「ちょっと!姫を置いて行くの!?」
「んな訳ねーだろ!! ここじゃだめだ! 賢者を呼ぶ!!」
セイジはくるみを抱えて走り、ゲートの中へ。
2人も急いでゲートの中に飛び込んだ。
ゲートを抜けた後、セイジが集会所のベンチにくるみを寝かせると、りつ子は悲鳴を上げた。
「りつ子さん、ヒーラー賢者呼んで!早く!!」
セイジが叫び、りつ子はすぐに電話を握り締め、話し始めた。
「誰か!ヒーラーの人!!大至急治して!! 誰でもいいから!!」
大地が叫ぶと、数人のヒーラーが集まり、回復魔法をかけ始める。
「姫!! 起きてよ!! お願いだから!!!」
ノリは涙を流しながら、くるみに話しかけ続けていたが、くるみが反応することはなかった。
ヒーラー賢者は到着するなり、何も聞かないままにくるみに回復魔法をかける。
しばらく回復魔法をかけた後、ヒーラー賢者は手を止めた。
「ジジイ!てめぇ何勝手にやめてんだよ!!」
ノリが賢者の胸倉をつかみながら怒鳴りつけると、賢者は「息をしておらん」と小さく呟く。
「ふざけんな! 蘇生魔法があるだろが!!」
「あれは虫の息があるときにしか効果がない。 完全に死んでしまってからじゃ無意味なんじゃよ」
「ふざけんなクソジジイ!! 何とかしろっつってんだよ!!」
ノリが怒鳴りつけると、どこからかピンク色の蝶が舞い込んできて、くるみの体の上に止まった。
ピンク色の蝶は、ゆっくりと光を放ち、くるみの体をピンク色の光で包み込む。
蝶は、目を開けられないくらいの光を放った後、一瞬にしてくるみの体ごと姿を消した。
「…どこ行った?」
セイジは、さっきまでくるみが横たえていたはずのベンチを見ながら呟く。
太一とノリ、賢者と近くにいた人たちも、辺りを見渡したが、くるみの姿はどこにもなかった。
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