妖精の音

部屋のなかで妖精を捕まえた。


のんきに枕元で眠っていたのを右手でつかんだ。


妖精は驚愕してじたばたもがいた。


私が手に力を込めると、妖精は苦しげな声をあげた。


妖精は可愛らしい顔をしていた。


誰からも愛されるような顔をしていた。


私はそれが憎らしかった。


妖精の手足を紐で縛り、洗濯機のなかに放り込んでスイッチを入れた。


回転する音。


水が入る音。


泣き叫ぶ音。


3つの音が聞こえる。


やがて泣き叫ぶ音が聞こえなくなり、音は2つになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る