21話 キャンプに来たなら水遊びっ!

ふぁぁぁ〜と欠伸をし、起き上がる。外を見るとまだ暗い。たぶん4時くらいだろう、寝たのが確か3時くらいだから1時間くらいしか寝ていないことになる。

まだ眠たいと訴える脳と戦いながら他の3人を起こそす。

「みんな、起きろ〜!」

近くにいた繭の肩を譲ろうとしたその瞬間、繭が寝返りをうって僕と目が合った。

「うわっ」

びっくりした僕は情けない声を出しながら後ろに倒れる。それを見て繭は声を出して笑っていた。

「あははっ、流石に驚き過ぎだって。」

「寝てると思ったのにいきなりこっち向いたら誰でもこれぐらい驚くよ…」

「そうかな〜? 」

そう言い残して繭はリビングへ向かっていった。残りの2人の起き上がる。

「おはようございます〜」

「おはよう」

2人と挨拶をした後リビングに向かっていった。


みんなで朝ごはんを食べる。まぁ朝ごはんって言っても時間が無いからおにぎりだけなんだけどね。具の無い塩おにぎりを口に詰め込み、牛乳で流し込む。そして歯磨き、今日のキャンプの準備をする。


今の時刻は午前5時半、外は少しづつ明るくなってきている。朝焼けが空を幻想的な色に染めていた。僕達はキャンプの準備を終わらせ詩歌さん達を待っている。いつ来るかワクワクソワソワしてみんな落ち着きが無くなっていた。勿論僕もだ。

コンコン

と音がしてドアが開く、

「迎えに来ました〜」

大きな荷物を持った詩歌さんがそこには居た。後ろには楽しそうにこちらに手を振る音羽さんもいた。

「わざわざありがとうございます。それじゃあ行きましょうか。」

僕達も荷物を背負って家を出る。しっかりと鍵をしめて、1泊2日のキャンプへと旅立つ。


#

南の都市の入口に着き、1度馬車を降りる。そこから少し歩いて今回行くキャンプ場まで送ってくれる馬車に乗り換えた。

その馬車に乗り、暫く経つと潮の匂いがしてきた。ちょっとだけ塩辛いその匂いは海が近づいてきたことを感じさせるには充分だった、何ヶ月かぶりに嗅ぐ潮の匂いは懐かしく、少しだけ僕を感動させた。


ようやくキャンプ場に着く、他より高めの位置にあるので、綺麗な砂浜と海が一望できる。

「きれい……」

緋莉がそう呟く、本当に綺麗だ。目の前に広がる海は太陽の日差しを反射し、キラキラとどこまでも輝いている。まるで宝石のように。

キャンプ場の説明などを聞き終えた音羽さん達が戻って来た。

「じゃあテント立てに行こうか」

そう言って音羽さんが歩き出す。それに僕達もついて行った。

数分皆と話しながら歩くと目的地へと着いた。そこは海がキレイに見える草原のような場所で、潮風が涼しく吹いていて気持ちよかった。地面に寝っ転がってみると、涼しい潮風で眠気を誘われる。

「じゃあテント立てようか、手伝ってね。」

「はーい!」

全員で作業を始める。テントは合計2つ、テントを立てるには4人ぐらい必要なので半分に別れて何とか頑張って1時間くらいで完成させた。

作業を終わらせ、僕達はお昼ご飯を食べる事にする。

今日のお昼ご飯は音羽さん手作りのサンドイッチだ、卵やお肉、フルーツが挟まったものまである。

「美味し〜」

フルーツサンドイッチを頬張った繭が言う。ほんとに美味しそうに食べている。子どもっぽくて可愛い。

僕も1つ手に取って咥える、パンがふわふわしていて美味しい。みんなもぐもぐとサンドイッチを頬張ってる姿は小学生のピクニックを連想させた。


昼ごはんを終え僕達は海に来ていた。綺麗な海が目の前に広がってるのを見ると感動できる。

繭と緋莉は既に水着になって水をかけあって遊んでいた。音羽さんと詩歌さんは遠くからそれを見て楽しそうに会話していた。

僕達も着替えを終え、繭達に混ざる。持ってきていたスイカの絵柄のビーチボールを投げあって遊んだ。バシャバシャと水しぶきが飛び交い、体にかかるがそれが気持ちいい。もうすぐ冬とは思えないほどいい日差しだったからだ。

しばらく遊んでから、音羽さん達も誘い3対3のビーチバレーをする事にした。僕、繭、詩歌さんのチームと茶眩、緋莉、音羽さんのチームに別れて対戦する。

細かいルールは分からないので、とりあえず25点先取で普通のバレーも同じルールでやる事にした。

プレイは最初っから接戦だった。僕が相手の玉を取り繭がトスをして、詩歌さんがアタック。それを茶眩がとって緋莉がトスをし、音羽さんがアタックその繰り返しだ。

疲れたみんなの息とボールを弾く音が周りに響く。

今の点数は24対24。デュースは無しという事で次に点数を取ったチームの勝ちだ。

サーブは僕、華麗にジャンプサーブを決め相手のコートへと勢いよくボールが飛んで行く。

「ふっ!」

と茶眩が飛び込んでそれを拾い、ボールは高く上がる。それを優しく上にあげたのは繭、そのボールを音羽さんがアタック。勢いの良いボールがこちらのコートへ帰ってくる。それを僕が取り……

と10分程度繰り返し、ついにその時は来る。詩歌さんがアタックしたボールは勢い良く飛んでいって音羽さんの腕に当たる。そして反射したボールはコートの外へと飛んで行った。

「……やったぁぁぁ!」

詩歌さんが腕をあげぴょんぴょん飛び跳ねる。僕は繭とハイタッチをした。

相手コートでは音羽さんが2人に

「ごめんっ! ほんとにごめん!」

と誤っている。詩歌さんはそれに近寄って行って、

「どんまい、でもいい試合だったよ」

と手を差し出した。笑いながらその手を取って起き上がった。その様子は仲のいい夫婦そのものだ。

その後は日が暮れるまでずっと6人で水遊びをした。やめる頃には海が幻想的なオレンジ色に染まっていてこれにもまた感動した。






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