第3話 双子の王子
面立ちはとても似ていたが、長い髪の色はわずかに濃淡の差があり、一人は深夜を思わせる紺藍色、もう一人は暁の光を帯びた瑠璃色の髪をしていた。
目前には透けた蒼の水面を湛える泉。
周りを取り囲む腰丈ほどの白い大理石の壁には美しい花の様な模様が施されていて、人々から大切にされていることが伝わってくる。
そして、この『知恵の泉』こそ、忘れ去られた始まりの泉であり、剣と指輪が授けられた地であった。
「
「大丈夫だよ、
「そうか……」
紺藍色の髪を後ろ手に高く結んだ
「父上があのような死を迎えられたからには、今日のこの
「俺がそんな役立たずに見えるのか、
瑠璃色髪の
「禊祭は武器帯同が許されて無かったはずだがな」
飛王はニヤリとして囁くと、同じく隠し持っていたもう一振りの自分の剣を、服の下からちらりと見せた。
「とりあえず、援軍が来るまでこれでなんとかなるかな」
互いに頷き合った。
飛王が『あれ』と言ったのは、
どちらも、『ティアル・ナ・エストレア』の継承者の証―――
つまり、古より代々『ティアル・ナ・エストレア』を継承してきたのは―――
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