第四十回 それから、もう一人の訪問者。


 令子れいこ先生が今日もまた、僕の乗る車椅子を押して学園へと。


 そして僕と同じ、葉月はづきの訪問者。

 そして初めて見る顔。男の人だ。


 芸術棟の入口、千佳ちか先輩と一緒に並んでいるの。


 背は? それなりかな?

 太っている? 痩せている? ……平均的かな。


 カッコイイ?


 それは、それはね……



 カッコイイの、やっぱり……

 千佳先輩には、お似合いだね。


 ……


 ちょっと、寂しいな。


 するとね、ちょっと、

 だいぶ近づいてきた。しゃがんで目線を合わせて、



 君が葉月ちゃんだね。


 千佳から聞いてるよ、

 まあ、頼りない先輩だけど、可愛がってやったってな。


 ちょ、ちょっと、太郎たろう君……


 お顔まっ赤っかで千佳先輩、とっても可愛い。

 クスッと、笑えた。


 それにね、何だか面白そうな人だね、

 千佳先輩の彼氏……


 このあと、名乗ってくれた。フルネームで『霧島きりしま太郎』と。



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