第14話 事前打ち合わせと甘い午後
今日は、次のRamen Walkers収録の数日前。
今度は
さらに海外から来たゲストとも会うので、打ち合わせをしているのだった。
場所はセシリーの部屋だ。
「
セシリーとゲストとのやり取りのメールを読んでいる僕。
ゲストの人はチェルシーさんと言うらしい。
アメリカ人で、カリフォルニア州の出身。
マウンテンビューという所に住んでいるとのこと。
で、父親の仕事の関係で長期滞在することになったと。って、
「セシリー、チェルシーさんって旅行に来るんじゃなかったの?」
以前の口ぶりだと、短期滞在のような感じだったけど。
「父親の出張が短期で終わるはずが、長期になりそう、てことみたいね」
「長期ってどのくらい?」
「少なくとも半年、長いと1年らしいわ」
「そうなると、一度だけの付き合いで終わらないかもしれないね」
チェルシーさん次第ではあるけど。
「でも、出張の期間がはっきり決まっていないってよくあるの?」
話を聞いていた
「どうなんだろう。ちょっと僕もよくわからない」
「そうそう。チェルシーさんのパパは、グッグル社員らしいわ」
「ええ!?天下のグッグルじゃない!凄い!」
「そういえば、マウンテンビューはグッグルのある所だった」
グッグル社といえば、今や検索エンジンに、スマートフォン、
メールソフト、地図ソフトなど様々な分野で有名な大企業だ。
僕たち高校生にとって、ある意味憧れでもある。
「グッグルジャパンでしばらく働くそうよ」
「へえ……」
会うのが、別の意味で楽しみになってきた。
「写真ってあるの?」
ちょうど僕も聞こうと思っていたところだった。
「そうそう。すっごい綺麗なブロンドの髪の子なのよ!」
手慣れた手つきでパソコンを操作して、送られて来た写真を表示している。
「よく見る金髪美少女って感じ……!」
「そんなによく見ないと思うけどね」
苦笑しながら、感嘆した舞の物言いにツッコミを入れる。
都内には、外国人の観光客も住んでいる人もいるけど。
金髪美少女は滅多に見ないと思う。
「でも、確かに綺麗だ」
目を見張る程鮮やかなブロンドヘアーだ。
青くやや鋭い瞳に、長身でスリムな体躯。
グラマーで、出るところは出ている。
モデルさんかと思ってしまいそうだ。
「むぅ。浮気?」
睨まれてしまう。
「そ、そんなわけないってば」
「冗談よ。キョウヤはちっちゃいのが好きだもの」
「ちっちゃい?何のこと?」
僕らの応酬に、「?」という顔をしている舞。
「こっちの話だから。気にしないで」
性癖の話をされるのは気まずい。
あと、別にちっちゃいから好きになったわけじゃないと言いたい。
「チェルシーさんも高校生なんだ。学校、大丈夫かな」
文面を流し読みすると、それっぽい事が書かれている。
「どこかに一時的に転校するって聞いてるわ」
「ちょっと大変そう。日本語の壁が」
「インターナショナルスクールだと思うよ」
気がつくと、話がそれている。
「本題に戻ろう。どこのラーメン屋に行こうか」
「こないだの牡蠣ラーメンじゃダメなの?」
セシリーの言葉に、先日、
「チェルシーさんには、ちょっとハードルが高いと思うんだ」
「来日は初めてだものね。じゃあ、豚骨系が無難じゃないかしら」
「アメリカもなの?」
「Tonkotsuだけで豚骨ラーメンの意味だって通じるくらいだもの」
以前に聞いた、イギリスのラーメン事情を思い出す。
Tonkotsu=豚骨ラーメン、なのか。
「じゃあ、新宿付近の博多ラーメンで探してみよう」
グッグルマップスを使って、新宿付近のラーメン屋をリストアップ。
豚骨といっても色々あるけど、ベーシックな博多ラーメンで考えてみる。
うーん。
「
水龍は、東京を中心に展開するラーメンチェーン店だ。
替え玉がある博多ラーメン系のお店で、まずまず無難だ。
「いいわね。水龍を第一候補で。お店に聞いてもらえる?」
「了解」
「私、初めてだよ?」
「よくある普通のラーメン屋だし、大丈夫だと思うけど」
何か不安なことでもあるのだろうか。
「なんで当然のように知ってるの?って言いたかったんだけど……」
「言われてみると」
「盲点だったわね」
普通の高校生はあちこちのラーメンを食べ歩きしないのだ。
そんな当然のことを忘れてしまっていた。
「それはおいといて。あとは、話の進め方だね」
「そんな事まで考えるの?」
「別に台本までは要らないけど、微妙な沈黙は避けたいし」
「キョウヤはそういうとこ、神経質よね」
「君がすっぽ抜けるからね」
そういう部分も含めて、彼女の味だからいいのだけど。
「とにかく。まず、いつも通りセシリーがメイン」
ここははっきりさせておきたかった。
「チェルシーさんが主役でもいいと思うのだけど」
セシリーからの疑問。
「ダメ。視聴者は、セシリーのトークを聞きたいんだから」
「わかったわ。それで、
「セシリーのトークに適当に反応して。ツッコミでも何でも」
「そんなのでいいの?」
「僕たちは素人だし、細かすぎると、逆に無理が出る」
大まかな役割だけ意識して、あとはアドリブでちょうどいい。
「あ、あと。セシリーはチェルシーさんの通訳お願い」
「それは構わないけど。キョウヤじゃダメなの?」
「さすがに僕に通訳は無理だよ。必要なレベルが違いすぎる」
通訳は「ちょっと英語ができる」程度の僕だと無理だ。
「チェルシーさんには好きに話してもらっていいのよね」
「それは当然。ただ、ゲストって線は意識してね」
ちょっと心配し過ぎかもしれないけど。その後も、
いくつかの点について意識を合わせて打ち合わせは終了。
「もう2時間経っちゃった。結構、時間かかるんだね」
少し疲れた様子の舞。
「普段は適当でいいけど、特別回だから」
「キョウヤは心配性なんだから」
「性分だから」
あるいは、昔の僕と彼女の関係のせいかもしれない。
「それじゃ、私はこの辺で。二人で存分にいちゃいちゃしてね」
手を振って、あっさりと舞が帰ってしまう。
残された僕たちはというと。
「舞もこういうところは、よく気を遣うよね」
「そうね。別にハグも本気じゃないし」
彼女からその言葉が出たのは少し意外だった。
「気づいてたの?」
「嫌がらない範囲でやってることくらいは、ね」
「そっか。逆に、こういうとこで遠慮しないで欲しいんだけど」
「二人っきりになりたくないの?」
なんて言いながら、ギュっとしがみついてくるセシリー。
「いや、そういう意味じゃなくて。わかって言ってるでしょ」
「冗談よ。舞も水臭いわ、本当に」
僕たちの仲を邪魔しないようにと考えているのは明らかだった。
二人っきりの時間は十分あるから、遠慮しないで欲しいのだけど、難しい。
「ま、今日は二人きりの時間を楽しもうか」
彼女の小さな身体を優しく抱えあげる。
「ん。抱っこは、ちょっとドキドキする」
胸に手を当てて、顔を赤らめている様が可愛らしい。
ぽすんと彼女の身体をベッドに横たえる。すると、
「キョウヤの心臓、ドキドキしてる……」
目を閉じて、僕の胸に耳を当てているようだ。
「そりゃ、ドキドキするよ」
「余裕そうなのに?」
なるほど。そこが疑問だったとは。
「すぐに襲っちゃいたくなるくらいには」
「ん。食べちゃって?」
そう言って、キスをされる。
甘ったるいその言葉に身体が熱くなる。
ほんとに今すぐ押し倒したいくらいだ。
我慢我慢。
「がっつくより、僕はこうしてるのが好き」
頬をぷにぷにしたり。
額をこつんとしてみたりする。
「ん……♪大好き、キョウヤ」
目を細めて、お返しとばかりに頭を擦り付けられる。
「僕も大好きだよ、セシリー」
ささやきながら、ちっこい胸に軽く触れる。
「ちっちゃいのが、好き?」
「う、うん。ちっちゃい胸が好き」
以前のおねだりに応えて、そう言う。
これを言うのはまだやっぱり照れがある。
「嬉しい。もう食べちゃって?」
「でも……」
「私が食べて欲しいの」
そんな可愛らしいおねだり。
「うん。じゃあ食べちゃうよ」
服を少しずつ脱がせながら、胸を揉みしだいて行く。
不思議と気持ちいい。そうしていると、
「ちっちゃい胸で良かった」
なんて言うものだから、僕は苦笑いだ。
そうして、甘い午後は過ぎていったのだった。
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