第132話『発見』


かの世界この世界:132


『発見』語り手:タングリス          






 ヤマタの根城に近いのか、灌木林は鬱蒼としたジャングルのようになってきた。



 灌木の背丈はせいぜい三階建ての高さほどだが、ジャングルのようになった今は木や草の丈はほとんど十メートルはあろうかと思われた。


 かなりの草木が自分で発光していて、それも草木の種類によって色が違う。上空では風が吹いて小梢を揺さぶっているようで、地上に近い枝や葉っぱが蠢動し、それにつれて光が怪しげに重なり、あるいは交差したりするので不気味さはこの上ない。その上、猛獣ともクリーチャーともつかない咆哮や鳴き声が混じり合って耳から侵入し、ただでさえ混乱しそうな意識を切れ切れの混濁の中に封じ込められそうになる。


「何か聞こえる!」


 テルの声でみんなが停まる。たいていは聞き間違いか幻聴なのだが、聞こえるたびに全員が立ち止まることにしている。聞こえた者が勝手に動き出しては密林の中でバラバラになる恐れがあるので、全員が納得というか共通の認識ができるまでは動かないのだ。納得するには確認が必要で、ポチが、その役目をはたしている。


「ポチ、確認してくれ」


「ラジャー!」


 目印のために風船をあげる。音や気配の正体を確認したポチは密林の上まで出された風船を目当てに戻ってくるのだ。


 四五分もあれば、正体がわからなくとも戻って来る。分からない時は、その方向を避けて進むのだ。時間はかかるが安全で確実だ。


「十分過ぎたぞ」


 姫が呟く。たしかに、十分もかかるのは初めてだ。


 もう少し待ちましょうと目配せすると姫を挟んだテルと目が合う。テルも同じことを考えているようだ。


 さらに五分すぎてポチが戻ってきた。


「どうしたんだ、ポチ?」


「……見つけた、ユーリアが居たよ!」


「ほんとうか!?」


「うん、切れ切れの気配で迷ったけど、何度も確認したよ」


「どっちだ?」


「見に行く?」


「もちろんだ」


「じゃ、こっち!」


 ポチの後を付いて密林をかき分けること数分、少し開けたところにユーリアは居た。


 ハングライダーが枝に引っかかり、伸びたハーネスが絡み合って、複雑な姿勢でぶら下がっていた。


 姫が身を乗り出そうとすると、ポチが押しとどめる。


「なぜ、止める?」


「これが一人目だから……次行くよ!」


「「「次?」」」


「こっち!」




「「「え!?」」」




 ポチに引き回されて、我々は五人のユーリアを発見してしまった……。




☆ ステータス


 HP:11000 MP:120 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー


 持ち物:ポーション・180 マップ:10 金の針:50 福袋 所持金:350000ギル(リポ払い残高0ギル)


 装備:剣士の装備レベル45(トールソード) 弓兵の装備レベル45(トールボウ)


 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)


 白魔法: ケイト(ケアルラ) 


 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)


☆ 主な登場人物


―― かの世界 ――


 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫


 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる


 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士


 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係


 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 


 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児


 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態


―― この世界 ――


 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い


 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長


 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 


 

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