第129話『灌木林の中に美容院!』


かの世界この世界:129


『灌木林の中に美容院!』語り手:テル        






 努力の甲斐あって開けたところに出てきた。


「もう、髪がビチョビチョのネチャネチャーーー!」




 ブリュンヒルデの髪は獰猛な植物たちの樹液に染まって薄っすらと緑色に染まり、その水分で重くなって、ぶん回すことを止めると大雨に降られたライオンのタテガミのようになった。


「よく頑張られました、すこし休憩しましょう。姫、シャンプーさせていただきます」


「こんなところでシャンプーできるの?」


「回復アイテムの中にシャンプーがあります……」


 タングリスがホルダーにタッチすると、美容院のシャンプー台が出てきた。


「立派なのが出てきた!」


 それだけではなかった、シャンプー台の周囲がムクムクと変化して本格的な美容院になった。


「おお、すごい!」


「ここまでとは!」


「ドライシャンプーくらいのものかと思っていた」


「ああ、これはいい! 一瞬の魔法でやるよりもリラックスできるし!」


「美容師までは付いていないようだな」


「セルフサービスだよ、この方が面白いかも!」


「テル、わたしたちもやろう、気分転換になる」


「あたしもやりたい!」


 ポチも手をあげて交代でシャンプーすることにした。


「わたしは最後でいいぞ」


 ブリュンヒルデが似合わぬ遠慮をする。


「そうですか、それではポチからやってやろう」


 女と言うのは髪をいじるのが大好きだ。人をシャンプーしてやることも十分癒しになる。


 ブリュンヒルデが遠慮したのが意外だったが、最後にやってみて分かった。


「なんで、こんない長いんだあ!」


 リラックスしたブリュンヒルデの髪は五メートルほどの長さになった。まるでラプンツェルだ。


「ふだんは短くしているのだ、フン!」


 気合いを入れると普段の長さに縮む。


「おもしろーい!」


 ポチが面白がって髪を体に巻き付ける。フンッ! ホー フンッ! ホー オッサンがメタボの腹をペコペコさせるように気合いに加減をくわえると、ブリュンヒルデの髪はピュルピュルと伸び縮みを繰り返す。夏祭りや縁日で売っている『ふきもどし』にそっくりだ……ん? なんで見たこともない『ふきもどし』を知っているんだ?


 ときどきおこるデジャブに思考をとられていると、周囲の様子が変わってきた!


 美容院の床や壁がグニャグニャに波打ったかと思うと、美容院は袋状になって急速に縮みながら蠕動運動を始めた。


「しまった、罠だぞ!」


 タングリスが叫んだ時には蠕動運動が起こって、ポッカリ穴の開いた床に飲み込まれていった……。




 


☆ ステータス


 HP:11000 MP:120 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー


 持ち物:ポーション・180 マップ:10 金の針:50 福袋 所持金:350000ギル(リポ払い残高0ギル)


 装備:剣士の装備レベル45(トールソード) 弓兵の装備レベル45(トールボウ)


 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)


 白魔法: ケイト(ケアルラ) 


 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)


☆ 主な登場人物


―― かの世界 ――


 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫


 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる


 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士


 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係


 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 


 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児


 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態


―― この世界 ――


 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い


 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長


 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 


 


 

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