第100話『貨物デッキ』
かの世界この世界:100
『貨物デッキ』語り手:ロキ
横から見たシュネーヴィットヘンは『W』の形をしているんだそうだ。
船首と船尾が高くて、ブリッジのある中央部分が『W』の真ん中で一番高くなっている。
むろん、煙突やらマストやら色々くっ付いていて、実際は『W』ほどに単純じゃない。
でも、大ざっぱと言うか単純化すると物事の本質が見える……ヤコブ伍長が教えてくれたんだ。
「で、あたしたちが居るのはどこよ?」
肩に乗ったポチが身を乗り出して伍長に聞く。ポチもヤコブが好きになったようだ。
「『W』の右っかわの窪みだ。四号を船尾のデリック……ああ、クレーンのことな。デリックで積み込んで、下ろす時もデリックを使うから、この貨物デッキが一番いいんだ」
「ウウ……キャビンのベッドでゆっくり寝たいよお」
体育座りの膝小僧の上に顎を載せてグチっているのはケイトだ。オレよりは年上なんだろうけど、どうも子どもっぽい。
「キャビンは兵隊で一杯だからね、近寄らない方がいいよ」
「なにかヤバイの?」
「えと……陸軍の兵隊ばかりだから船に弱いんだ」
「船に弱いって?」
「あそこ見てごらん」
ヤコブが指さしたのは手摺の方だ。手摺の向こうは海で、波しぶきが踊っている。
「虫? 花びら?」
ケイトが不思議がった。波しぶきに水ではないものが混じっているのだ。ムヘン川で遊んでいても魚が跳ねたりすると、いっしょに泥やら小魚やらが跳ね上げられるので、そういうものかと思っていたんだけど、ちょっと様子が違う。
「あ、虹が掛かった!」
波しぶきに虹がかかってきれいだ。
「わーー、きれい!」
ポチが感動して虹の所まで飛んで行こうとする。つられてケイトも、オレも腰を浮かしてしまった。
「いくんじゃないよ」
ヤコブが声を掛けた時は遅かった。
「ヤ、なにこれ!? 臭いよおおお!」
ポチが虹の原因になったものを被ってホバリングしている。
「だから言ったろ、それは、上のデッキで兵隊たちが船酔いして吐き出したゲロなんだよ」
ゲーーーーーーーーーーー!?
ポチの犠牲で済んでよかった。直ぐに海水で洗い、仕上げに400CCだけ真水で洗って済んだから。オレとかケイトだったらお風呂に入らなきゃならないところだ。ちなみに、シュネービットヘンにはお風呂は無い。簡単なシャワーはあるらしいけど、定員の倍も乗せているので使用は禁止されてるし。
「もう少ししたら、兵隊たちも慣れて吐かなくなるよ」
「オレたちはどうして酔わないの?」
「酔う前に慣れたからさ」
あとでタングリスが教えてくれた。知恵の輪から戦車の説明とかで興味を引いて船酔いしないようにヤコブが気をつかってくれたんだって。
ああ 気持ち悪い~
荷物の陰から死にそうな声があがった。
覗いてみると、ブリュンヒルデが青くなってうずくまっている。
「ウップ」
ヤバイ、ブリュンヒルデがもどしそうだ!
ポチが真っ先に、オレとケイトも逃げ出した。
「ゴックン……だいじょうぶ、呑み込んだから」
しばらくブリュンヒルデの息が臭いので近寄らなかった。
まあ、とにかく船出して早々は愉快に過ごせてラッキーだ。
しばらくすると、タングリスとテルが戻ってきてヤコブと真剣な話をし始めた……。
☆ ステータス
HP:7000 MP:43 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・55 マップ:6 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高35000ギル)
装備:剣士の装備レベル15(トールソード) 弓兵の装備レベル15(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー)
白魔法: ケイト(ケアルラ)
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6の人形に擬態
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
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