第91話『ポチの退屈・3』
かの世界この世界:91
『ポチの退屈・3』
赤がクリーチャー、白がレジスタンス。
そのはずなのに、高度を下げると赤と白の区別が無くなってピンク色になってきた!
ピンク色んて聞いてないよ!
むろん、仮想デスクトップのマップ上の表示なんで、なんだろうと眼下の戦場に目を落とす。
え? えええええええええ!?
クリーチャーとレジスタンスの兵士が融合してとんでもないことになってる!
シリンダーと兵士が融合して、シリンダーのお尻みたいな体に人間の手足が生えているという分かりやすいものから、唇に手足が付いたもの、目玉に手足がついたもの、鼻に手足が付いたものなんかが混じっている。
メスシリンダーは大きいだけあって、一度に何十人という兵士を取り込んで巨大なムカデのようになっている。それがのたうち回ってトール軍の戦車や自走砲をなぎ倒している。
戦車などは裏返しにでもならない限り戦闘力を失わないようで、ほとんどゼロ距離射撃でメスシリンダーの横腹を破裂させ、血や肉やらなにやら分からないものをまき散らし、その撒き散らされたものは毒でもあるのか、トール軍の兵士がのたうち回って苦しんでいる。
目を転じると、すぐに対策を立てたトール軍部隊が防毒マスクを着けて風上に回り込む運動を始めている。抜刀隊が一斉に走り出し融合していないシリンダーを見つけては両断していく。
風に乗ったプレパラートたちが疾風のように勢いをつけて抜刀隊に襲い掛かる! さすがの抜刀隊もイナゴの群れのようなプレパラートに切り刻まれて明けに染まっていくものが続出。
ところどころにフィギュアのように突っ立っている兵士……ゴーグルが外れてメデューサに石化されてしまっているんだ。衛生兵が命懸けで近づいて金の針を打っている。
見覚えのある……あ!? ペギーのおばさんが戦場を駆けまわりながら、なんと商売をしている!
おばさんの商魂はすごいなあと感心するだけなんだけど……なんだか気分が悪くなってきた。
戦場のむごたらしさには慣れているというか、自分自身シリンダーの変異体なので、こんなのは平気のはずなのに……目がくらくらして、冷や汗が流れて、手足がしびれてくる……。
そうなんだ、人とクリーチャーの融合が嫌なんだ、見ていられないんだ。
――ポチ、もういいぞ、かえってこい!――
ロキの声が頭の中で響いて我に返った。
ロキの声が、ここまで聞こえるってありえないから、空耳に決まってるんだけど、わたしの中の何かが限界だって言ってるんだと思う。か、帰らなくっちゃ……
気づくと、飛び方もフラフラになって、いつ地上に墜ちてしまうかもしれない、墜ちたら、ここは戦場だ!
揉みくちゃになって踏みつぶされてしまう!
シュッ!!
鞭のような触手が伸びてきたのを危うく躱す! 次のが来たら避けきれない! そのままの勢いで戦場を離脱する。
早く戻って戦況を報告しなくっちゃ!
でも、意識が朦朧と……途切れ途切れになっていく……。
バシュ!
や、やばい、なにかに絡めとられてしまった! いやだ! 人とクリーチャーの融合体なんかああ!!
☆ ステータス
HP:7000 MP:43 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・55 マップ:6 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高35000ギル)
装備:剣士の装備レベル15(トールソード) 弓兵の装備レベル15(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー)
白魔法: ケイト(ケアルラ)
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6の人形に擬態
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
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