第27話 あえて言おう。フラグであると

「なに? 邪神だと?」






驚いたように問い返したユーディーンにエンデは更に話を続ける。






「はい、左様に御座います。陛下がご存じないのも無理はありません。邪神リティスリティアを崇める邪教団がこのドレアスに暗躍していたのはドレアス建国間もない時の話。時の王ニコライにより邪教徒共は一掃されたと言い伝えられておりますが、生き残りがおったようですな」






エンデはそう言って、皺くちゃな顔の皺を更に寄せて俺様を睨みつける。


どうやら俺様はいつの間にか邪神リティスリティアの邪教団とやらの生き残りと認定されてしまったようだ。




まぁ確かに俺様という偉大過ぎる勇者をこんな異世界に無理やり飛ばすという暴挙を行った事から考えればリティスリティアが邪神というエンデの言い分も分からなくもないが、俺様はとしてはそんな如何わしい団体に入団した覚えはない。






「おい、勘違いするなよ、ジジイ。俺様はあくまであの女の被害者だ。あの女に無理やりこの世界に連れてこられて悪魔と退治して来いと頼まれたのだ」






あくまで俺様は事実を伝える。


実際、俺様はあの女の被害者で最終的には悪魔討伐を引き受けこそしたが、あの状況ではそうするしかなかったから今のような状況になっている。






「お聞きになりましたか!? 陛下! この者は世界を渡ったと言いましたぞ! それにいもしない悪魔討伐などと! 妄言で人々を惑わしたという言い伝え通りでございます!」






確かにエンデの言う通り異世界転移など魔法が発展していた俺様達の世界の常識から考えても超常の奇跡とも言える大魔法であり、魔法が全く発展していないこの世界で考えれば妄言と言われても仕方のない話だろう。


だが、そんなものは始まりの女神?を自称するリティスリティアから説明されて無理やりにでも納得しているものだと俺様は考えていた。


だというのに、説明が通っていないどころかリティスリティアは邪神呼ばわり。




これでは全く話が違う。




完全にリティスリティアに梯子を外された形になった俺様だが、悪魔から世界を救った勇者として、ゴージャスな生活を送る。


その目的だけは変わることはないのだ。




とはいえ、このままでは俺様は邪神リティスリティアを崇拝する邪教団の教徒としてドレアス王国に受け入れてはもらえない。


いっそ剣聖レイが追い返したというドラゴンが仲間を引き連れて、この国に報復でも行ってくれれば、俺様の勇者としての名声を高められ話を聞いてもらえるかもしれないが、流石にドラゴンといえどそこまでの知能は有してはいないだろう。考えるだけ無駄だ。






どちらにしてもかなり面倒臭そうだが、何人いるかも分からないドレアス王国全軍を全て打ち倒し、無理やりにでも話を聞いてもらうか、リティスリティアが邪神認定されていない他国を探すかそんな事を俺様が考えていると不意に俺様の後ろにある玉座の間の扉が開かれた。




俺様は振り返ると、そこには俺様が大通りで気絶させたはずのルシードとルシードに髪を無理やり引っ張られている小さな子供、それと数人の甲冑の騎士が立っていた。


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