第80話 閑話 主人公誰だっけ?
、【前書き】
この話をスムーズに理解するためには、私の他作品
『なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話』
『出戻り勇者は自重しない ~ 異世界に行ったら帰ってきてからが本番だよね!~』
『不思議なペットボトル』
の三作品をお読み頂けると感情移入がしやすいと思います。
お暇な時に是非ご一読を!
読まれて無い方は、少し意味が通じない部分もあるとは思いますが、大筋は伝わるかと思います。
◇◆◇◆
「うはぁ、こりゃまたやっちまったか?」
「ご主人様、ヤバイニャ」
『ナビちゃんちょっといいかな?』
『いかがなさいましたか理様』
『どこだここ?』
『えー……世界を統べる者が作り出した世界では無いようですね』
『どういう事なんだ……』
「お待ちしておりました勇者様」
「何だと……」
そこには、俺が以前よく読んでた、ラノベの異世界召喚と思える中世ヨーロッパのお城の様な造りの空間だった、俺の横にTBはいるが、雪は来ていない、ナビちゃんとは会話が出来てるから、取り敢えずはすぐすぐ死ぬような事態にもならないだろう。
でも他にも三人の男女が居た。
「先輩ここどこですか?」
「きゃああ、ちょっと見ないで下さい」
「あ、ごめんなさい。取り敢えずこれを羽織ってください」
そう声を掛けられてマントのような布を、私と
「あの、私達お風呂の途中だったんですけど、これだけじゃとても恥ずかしいんで服をお願いします。て言うかどこなんですかここ? あ、TBどうしてそこに居るの?」
「あちゃぁイルアーダかここ? 発生の阻止に失敗したのか。お、TBも巻き込まれちまったのか?」
「おい、俺達初対面だよな? なんでみんなTB知ってるんだ?」
「あ、あの……この世界をお守りください勇者様」
「えーと、これって異世界召喚なのかな?」
「はい、来年封印の解ける魔神の対処をして頂くために、古の盟約により勇者様方を召喚させて頂きました。これより鑑定をさせて頂きますので、それぞれの役割に応じてこれから一年間鍛錬に励まれ、魔神封印の為の旅に向かって頂きたいのです」
「あ、ちょっといいかな? それって全く現時点では戦力として役に立たない前程の話だよね?」
「勿論何の訓練も受けていらっしゃらない勇者様方にはこれから、とても厳しく辛い訓練を受けて頂く事にはなりますが、この世界の為にどうぞお力をお貸しください」
そう言いながら、この王女であろう女の子は、鑑定道具っぽい水晶玉を用意して来た。
「どなたからでも結構ですので、名前を言って、この水晶玉に触れて頂ければ、役割が現れるはずでございます」
「何だか良く解んないけどやらなきゃダメなんだろ? 俺からやるよ」
最初に向かったのは、黒猫の飼い主の男だった。
「
四十六歳、見た目だけなら二十代前半でも通る風貌だが、特別男前って言う訳では無い。
だが、人を引き付ける何かを持った男だ。
「これ触ったらいいんだな?」
そう言いながら水晶玉に手を触れた瞬間
「バリイイイィィイイン」
と言う大きな音と共に水晶玉が砕け散った。
「ば、馬鹿な、こんな事って……恐らく前回の勇者召喚から二百年間使用されていなかったので劣化していたのでしょう。失礼いたしました。すぐに新しい物をご用意させて頂きます」
そう言って王女が用意させたのは削り出す前のまだ原石の様な大きな岩の形をした水晶のクラスターだった。
「見た目は整えてありませんが一切の加工を施してありませんので、強度も申し分ないはずでございます。もう一度お願いいたします」
「あ、ああ、ちょっと順番後回しにして貰えるか? また壊れちゃったら何か悪いし……」
「じゃぁ俺が触るね、そう言いながら出て来たのは、まだ二十歳にはなっていないであろう見た目の少年だ。『
水晶のクラスターは一瞬ブルっと震えた。
その瞬間裸にマントを纏っただけの女の子の背が高い方の子が叫んだ。
「危ない、ふせてええ」
その言葉で、一瞬その場に居た王女やこの世界の魔法使いたちの動きが止まったが、何とか床に伏せる事は成功した。
叫んだ女の子は一瞬のうちに金属製の箒のような物を取り出し、もう一人の女の子の手を掴んで空中に舞い上がった。
「ボッカアアアアアアアアァァァアアアアン」と小爆発の様な音を響かせて水晶クラスターは部屋中に飛び散り壁に突き刺さって行った。
マントの女の子はそのまま空中静止して、箒を一振りすると女の子の方に飛んで行った水晶は、綺麗に掃除されたかのように消えて行った。
「まだ下着も着けて無いんだからこっちみないで下さあああぁぁぁああい」
って大声で叫んでる。
岩崎と名乗った男と、松尾と名乗った男はその場に立ったまんま何事も無いかの様に、結界を展開して水晶クラスターの爆発をすべて防いでいた。
床に伏せている王女や魔導士らしき人物たちは伏せていたために正面からの直撃こそ無かったが、みんな背中や後頭部から血を流したりしていた、結構ヤバい状況だ。
結界を使った男2人と、箒で飛んでいる女の子が三人ほぼ同時にスキルを発動した。
「「「完全回復」」」
次の瞬間、部屋中を柔らかな光が包み込み、血だらけで倒れて居たメンバーが、服装はボロボロのままだが、怪我は完全に治った状態で立ち上がった。
「こ……この世界を……お救い下さい勇者様方……」王女らしき子が再びそう口にして気を失った。
「おい、松尾翔君って言うのか君は? 俺のガキと同姓同名だな。これもなんかの縁だ。よろしくな」
「あ、はい。息子さんと同姓同名って何で苗字違うんですか? でも岩崎さんの子供なら、まだ三歳とかそのくらいかな?」
「ああ、俺、この見た目だけど四十六のおっさんだ。うちの翔の年も君と同じくらいだぞ」年寄りだからあんまり働かせるなよ? ってかさ、なんでTBの名前知ってるんだ?」
「え? こいつ岩崎さんの猫なの? 俺も見た目もそっくりな黒猫飼ってるんですよTBって名前で……」
「あ、あの、何か着るもの持って無いですか? 私アイテムボックスの中、食料と武器しか入れて無くて」
「ああ、お嬢ちゃんも随分強そうな感じだな、俺も着る物は、あ……バトルスーツでいいか? 強度はばっちりな筈だ」
「俺は、剣道の道着か全身タイツくらいなら有るけど」
「バトルスーツでお願いします」
「ほいよサイズは自動調節だ」
「すいません、ちょっと後ろ向いてて貰えますか」
「ああ、ゴメンな。着替え終わったら教えてくれ」
それから三分程で着替え終わって、女の子が口を開いた。
「あの、ありがとうございます。私は、
「
「TBは何でここに居るんですか?」
「あれ? お嬢ちゃんもまさかTB飼ってたとか言うの?」
「はい、テイムしてました」
「翔もか?」
「はい、TBは従魔ですね」
「おい、TBどうなってるんだ?」
「わかんにゃいにゃ。でもご主人様は理様にゃ」
「らしいぞ。俺の従魔のTBで間違いないらしい」
「そっか。そっくりなんだけどな?」
「先輩のTBにもクリソツですぅ」
「どうするよ? この状況」
「どうしましょう?」
◇◆◇◆
取り敢えず手分けして、倒れている連中を起こして回った。
王女以外はただの魔法使いのおっさんかと思ってたら。
帝国皇帝
エルフの王
獣人族の王
ドワーフの王
の四人も混ざって居たみたいだ。
この世界の王族って、あんまり偉そうなキラキラ服は着て無いんだな。
少し好感を持ったぜ。
更に王女は帝国皇帝の娘で、聖女の称号を持ち、魔神封印の旅に出向く際には付いて行くとか言っている。
なんか地雷臭が漂うな……
◇◆◇◆
「え? 先代の勇者って『坂本竜馬』なのか?」
「はい、勇者リョウマ様がこの帝国の始祖でございます。他の勇者パーティのメンバーは、賢者『オキタソウシ』剣聖『タカスギシンサク』大魔導士『キヨカワハチロウ』の四方が、二百年前に魔神を封印して元の世界に戻って行かれました」
『ナビちゃんちょっといいかな?』
『いかがなさいましたか理様』
『この状況はどう思う?』
『一緒に召喚された方は、それぞれ別の次元に存在した方々の様ですね。理様と変わらぬ力をお持ちの様です』
『すげぇなそれ、リョウマもナビちゃんの親父とは違うリョウマか?』
『恐らく……ですが、もしかしたら同一人物の可能性も残しております』
『でもさぁナビちゃんシンサクとソウシはまだ良いとしても、ハチロウってヤバくねぇか? また中二病全開のが出て来るんじゃないだろうな?』
『先代ですので、基本は絡みは無いと思いますが?』
『だったら良いけどな?』
『この世界で過していれば、色々な繋がりは見えて来るのではないでしょうか?』
『俺まだやり残した仕事あるんだけどなぁ』
こうして俺達は、なんだか面倒な事に巻き込まれちゃったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます