2026年8月2日 22:25
End ね?私以外何も見えなくなったでしょ?への応援コメント
全28話、最後まで拝読しました。読み始めると止まらなくなり、どんどん物語の先へと引き込まれました。暗殺者として女帝ゼルディアの命を狙い、返り討ちに遭った時雨。最初は、命を奪うことしか知らない冷徹な少女なのかと思いました。けれど、死の間際に彼女が夢見たのは、普通の家庭に生まれ、美しい景色を見るために世界を旅する人生でした。その願いに触れた瞬間、胸が締めつけられました。時雨は空っぽだったのではない。美しいものを美しいと感じる心も、楽しく生きたいという願いも、本当はずっと持っていた。ただ、それを抱くことさえ許されない世界で生きてきたのだと思います。だからこそ、スペアマジリアで彼女が初めて触れていくものの一つひとつが、強く心に残りました。温かな食事を口にし、人生で初めて満腹になること。ソファの柔らかさを「気持ち良い」「面白い」と感じること。任務のためではなく、純粋に楽しむために本を読むこと。見たことのない品々や美しい街に触れ、少しずつ世界の広さを知っていくこと。誰かにとっては当たり前の日常が、時雨にとっては、生まれて初めて与えられた人生そのものだったのですね。その姿が愛おしく、同時に、彼女がこれまでどれほど多くのものを奪われてきたのかを思うと、何度も苦しくなりました。そして、ゼルディア。時雨へ惜しみなく食事を与え、休ませ、本を用意し、欲しいものを贈り、過去も罪もすべて受け入れると告げる。傷つける者から守り、どんな姿になっても愛し続けると言い切る彼女の想いは、あまりにも強く、甘く、真っ直ぐでした。けれど、その愛に安堵するたび、私は胸のどこかで立ち止まりました。これは時雨が求めていた救いなのだろうか。それとも、彼女自身が考え、拒み、選ぶことさえ包み込んでしまう、別の何かなのだろうか。ゼルディアの愛を、単純に優しいとも恐ろしいとも言い切れない。そのどちらもが同時に存在しているからこそ、二人の距離が近づくほど、私は目を離せなくなりました。生まれた国が違えば、教えられる常識が違う。生きてきた世界や文化が違えば、幸福も、自由も、愛情の示し方さえ同じではない。題名に掲げられた言葉が、時雨とゼルディアの関係を通して、少しずつ重みを増していく構成がとても印象的でした。温かな日常に心を緩めた直後、不意に覗く危うさに息を呑む。その感情の揺れを生み出す表現や、科学と魔法が共存するスペアマジリアの独自の世界観にも惹き込まれました。そして、最後の最後まで読んだとき、それまで積み重ねられてきた言葉や行動の見え方が静かに変わり、思わず立ち止まりました。時雨が辿り着いた場所を何と呼ぶべきなのか。ゼルディアが注いだものを、どのような愛と受け取るのか。――読み終えた今も、その答えを考え続けています。心を揺さぶられる物語を、完結まで読ませてくださり、本当にありがとうございました。また、このたびは拙作にも心のこもった素敵なレビューをお寄せくださり、重ねて御礼申し上げます。
End ね?私以外何も見えなくなったでしょ?への応援コメント
全28話、最後まで拝読しました。読み始めると止まらなくなり、どんどん物語の先へと引き込まれました。
暗殺者として女帝ゼルディアの命を狙い、返り討ちに遭った時雨。
最初は、命を奪うことしか知らない冷徹な少女なのかと思いました。けれど、死の間際に彼女が夢見たのは、普通の家庭に生まれ、美しい景色を見るために世界を旅する人生でした。
その願いに触れた瞬間、胸が締めつけられました。
時雨は空っぽだったのではない。
美しいものを美しいと感じる心も、楽しく生きたいという願いも、本当はずっと持っていた。ただ、それを抱くことさえ許されない世界で生きてきたのだと思います。
だからこそ、スペアマジリアで彼女が初めて触れていくものの一つひとつが、強く心に残りました。
温かな食事を口にし、人生で初めて満腹になること。
ソファの柔らかさを「気持ち良い」「面白い」と感じること。
任務のためではなく、純粋に楽しむために本を読むこと。
見たことのない品々や美しい街に触れ、少しずつ世界の広さを知っていくこと。
誰かにとっては当たり前の日常が、時雨にとっては、生まれて初めて与えられた人生そのものだったのですね。
その姿が愛おしく、同時に、彼女がこれまでどれほど多くのものを奪われてきたのかを思うと、何度も苦しくなりました。
そして、ゼルディア。
時雨へ惜しみなく食事を与え、休ませ、本を用意し、欲しいものを贈り、過去も罪もすべて受け入れると告げる。傷つける者から守り、どんな姿になっても愛し続けると言い切る彼女の想いは、あまりにも強く、甘く、真っ直ぐでした。
けれど、その愛に安堵するたび、私は胸のどこかで立ち止まりました。
これは時雨が求めていた救いなのだろうか。
それとも、彼女自身が考え、拒み、選ぶことさえ包み込んでしまう、別の何かなのだろうか。
ゼルディアの愛を、単純に優しいとも恐ろしいとも言い切れない。そのどちらもが同時に存在しているからこそ、二人の距離が近づくほど、私は目を離せなくなりました。
生まれた国が違えば、教えられる常識が違う。
生きてきた世界や文化が違えば、幸福も、自由も、愛情の示し方さえ同じではない。題名に掲げられた言葉が、時雨とゼルディアの関係を通して、少しずつ重みを増していく構成がとても印象的でした。
温かな日常に心を緩めた直後、不意に覗く危うさに息を呑む。その感情の揺れを生み出す表現や、科学と魔法が共存するスペアマジリアの独自の世界観にも惹き込まれました。
そして、最後の最後まで読んだとき、それまで積み重ねられてきた言葉や行動の見え方が静かに変わり、思わず立ち止まりました。
時雨が辿り着いた場所を何と呼ぶべきなのか。
ゼルディアが注いだものを、どのような愛と受け取るのか。
――読み終えた今も、その答えを考え続けています。
心を揺さぶられる物語を、完結まで読ませてくださり、本当にありがとうございました。
また、このたびは拙作にも心のこもった素敵なレビューをお寄せくださり、重ねて御礼申し上げます。