「この町において雪は呪いだ。祝福などではない。」
そんな印象的な一文から始まる、
かつてテラフォーミングに成功した火星を舞台にしたSF作品です。
今や火星は、極寒の雪原と化しています。
白銀の景色や、吐く息まで伝わってきそうな描写がとてもリアルで、
そこから静かに人間ドラマが始まっていくのが印象的でした。
文章は読みやすく、SFにあまり馴染みがない人でも入りやすい構成。
序盤は人間模様を中心に展開し、
少しずつこの世界の闇やハードSF的な設定が顔を出してきます。
第5話「テラフォーミング」では、
惑星改造計画の全体像が明かされ、
続く第6話「連邦保安官」では、
火星人と地球人の対立が描かれて一気に緊張感が増します。
このボリュームと質の作品を企画内で書かれているのは、
素直にすごいと思います。