初恋

葉の間に実る

小さな種は地に落ちず

ふらふら揺れて赤くなる


見えない間に育っている

成長して肥える実よ

ふらふら揺れて落ちる時


気づいてしまうのをやめようと

手を伸ばして千切ろうよ

だけれど揺れて掴めない


掴まないのは信じている

どこかで実ると信じてしまう

赤く染まりすぎまして


この身は熱く熟していく

食べてもらえないかと思うてしまう

焦がれすぎたと知る時や


咲かぬように、やはりやはり

落ちる前に捥いで口付けた

そうそう唇に口づけた


味は分からぬ

初めてだから

味は知らぬ

初めてだから


だから知らぬ

このみを奪いおかすのを

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