〔創作雑記〕あずまの頭んなか

あずま八重

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◆ 創作備忘録:講座っぽい何か

改行と空行の話 ~読みやすい書き方を考えてみる~

※2017.09.11版を2025.04.22にリライトしました。

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講座といえば大抵「文章作法」の話から始まるんですが、詳しく書いている人はたくさんいらっしゃるので、それはひとまず置いておきまして――


 まずは、読みやすさを意識してみませんか?


たとえば、改行が一切無いと【どんなに内容がおもしろくても読み始める気にならない】ことくらいは、想像しなくても分かるかなと思います。


では、空行くうぎょう(あるいは空白行)はどうなのか?


ここでは、拙作『空想というか妄想というか』の冒頭を例文として、小説に限らない【文章スタイル(書式)】を3つあげていきます。




あ。例文はじっくり読まなくて大丈夫です。

【読みやすく感じるかどうか】を眺めて判断してください。

読みたくなったら『〔短編集〕セカイの欠片を小箱につめて』よりどうぞ。


さて。

上でもすでにやっているとおり、大事な部分は【】でくくっています。

「読むのニガテ!」という人でも、安心して読めるかと。


究極の「読むのヤダ!」な方は、最後のまとめをご覧ください。

( ´ ▽ ` )ノ





===

◆ 書式1:段落改行型(紙面スタイル)

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 お湯を沸かす。うつわそそぎ入れる。フタを閉じて箸を乗せて、あとは待つだけ。インスタントカップ麺の良さは、お湯さえあれば食べられることに集約される。

 だが問題は、この待ち時間にあった。

 何もかもが億劫おっくうで、タイマーすらかけない。キッチンタイマーは無くとも時計はあるし、手元のスマートフォンにはタイマー機能だってある。設定すること自体が面倒なのだから、どうしようもないだろう。

 では、その時間をどう過ごしているかというと、カップ麺を置いたテーブルの前に立ち尽くし、他愛もない、というか むしろクダラナイ思考にふけるのが私の日課である。

 ――3分後に世界が終わるとしたら?

 まず確実に、このカップ麺は美味しく食べられないだろう。推奨待ち時間を無視して10分置いて食べる方法が流行はやったとき、その逆で1分で食べ始めるという猛者もさも現れた。パリパリの食感を楽しみつつ食べていると、後半は柔らかくなったものが食べられるのだそうだ。

 んまぁ、そんなことを考えて、最後の晩餐ばんさんがカップ麺でいいのかよ、なんて思いもする。そりゃあ当然だろう。


============



〈段落改行型〉では、【段落頭を1字下げ】し【改行は段落末にだけ】します。

論文や書籍、新聞といった〝紙〟を媒体にしている書き物の九割は、こんな感じですね。


あ、『媒体ばいたい』って分かりますか?

小学4年~中学くらいの、たぶん理科の時間に習う言葉です。

説明が苦手なので具体例を挙げると――


「お味噌汁の媒体は水(お湯)、新聞の媒体は紙、カクヨムの媒体はスマホかPC!」


伝わったかしら?

まぁ伝わらなかったとしても、【セリフの「」等の頭にはスペースを開けない】ことが伝わっていればいいんです。




段落の書き出しに空白スペースを置くこと自体は〈字下げ〉と言います。


日本語文での字下げは、1文字分だけするのが一般的なので「字下げ=1字下げ」として言われることが多いんですが、ここではあえて「1字下げ」としています。


あくまで〝一般的〟。

そこから外れたものは気安く叩かれがちですけれど、【表現意図によっては数文字分下げてもいい】と私は思っています。


〝一般的〟を踏まえた上で、崩す等するのは自由でございます。

――さぁッ、自分の道をロックにお行きなさい!




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◆ 書式2:一文改行型

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お湯を沸かす。

うつわそそぎ入れる。

フタを閉じて箸を乗せて、あとは待つだけ。

インスタントカップ麺の良さは、お湯さえあれば食べられることに集約される。


だが問題は、この待ち時間にあった。


何もかもが億劫おっくうで、タイマーすらかけない。

キッチンタイマーは無くとも時計はあるし、手元のスマートフォンにはタイマー機能だってある。

設定すること自体が面倒なのだから、どうしようもないだろう。


では、その時間をどう過ごしているかというと、カップ麺を置いたテーブルの前に立ち尽くし、他愛もない、というか むしろクダラナイ思考にふけるのが私の日課である。


――3分後に世界が終わるとしたら?


まず確実に、このカップ麺は美味しく食べられないだろう。

推奨待ち時間を無視して10分置いて食べる方法が流行はやったとき、その逆で1分で食べ始めるという猛者もさも現れた。

パリパリの食感を楽しみつつ食べていると、後半は柔らかくなったものが食べられるのだそうだ。


んまぁ、そんなことを考えて、最後の晩餐ばんさんがカップ麺でいいのかよ、なんて思いもする。

そりゃあ当然だろう。


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〈一文改行型〉では、【段落頭は1字下げせず】、基本的に【一文ごとに改行】します。


〈一文〉とは、「。句点」までの文章のつらなりを言います。

「?疑問符」や「!感嘆符」、使い方によっては各種カッコや「―ダッシュ」「…三点リーダ」までを一文として扱いますが、これは〝省略された句点〟が直後にあるからなのです。


さて、ここで問題です。

この書式で〈空行くうぎょう:行と行の間の空白行〉を入れるのはどんな時でしょーか?


さっきから「段落、段落」とよく言ってますが、正確には〈小段落:形式段落〉のことです。

その小段落が変わる時、この書式では、段落頭の1字下げをしない代わりに【空行を1つ入れて小段落の区切りに】しています。


早い話が〝目印〟ですね。

〈段落改行型〉では、改行でした。




ところで、小段落と聞いて連想するものはありませんか?


「いんにゃ。小段落すら知らんかってん」


――ま、まぁそんな方も、これを機に〈大段落:意味段落〉という言葉も覚えていってくださいな。




【大段落では、小段落よりも多く空行を】入れます。

そのほうが読み手にも書き手にも合図として分かりやすいですし、緩急が付いて読みやすくもなりますから。


この書き方での大段落は、私は3行空けをルール付けています。

小1・大2行空けでも分かりますけど、小1・大3行空けなら、差がハッキリしつつ4行空けほどのクドさは出ずに済むかなと思いまして。


ちなみに、本当なら上記の『~ここで問題です。』前にも大空行を入れるんですが、話の流れを考えて1空行にしておきました。モヤっとした方がいましたらすみません。


 


〈段落改行型〉での大段落は、【空けない、もしくは1行空け】です。

実例では空けていませんが、web小説では空けるほうが私は好みです。


それについては後述するので、ここでは割愛かつあいします。




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◆ 書式3:一文空行型

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お湯を沸かす。


うつわそそぎ入れる。


フタを閉じて箸を乗せて、あとは待つだけ。


インスタントカップ麺の良さは、お湯さえあれば食べられることに集約される。




だが問題は、この待ち時間にあった。




何もかもが億劫おっくうで、タイマーすらかけない。


キッチンタイマーは無くとも時計はあるし、手元のスマートフォンにはタイマー機能だってある。


設定すること自体が面倒なのだから、どうしようもないだろう。




では、その時間をどう過ごしているかというと、カップ麺を置いたテーブルの前に立ち尽くし、他愛もない、というか むしろクダラナイ思考にふけるのが私の日課である。




――3分後に世界が終わるとしたら?




まず確実に、このカップ麺は美味しく食べられないだろう。


推奨待ち時間を無視して10分置いて食べる方法が流行はやったとき、その逆で1分で食べ始めるという猛者もさも現れた。


パリパリの食感を楽しみつつ食べていると、後半は柔らかくなったものが食べられるのだそうだ。




んまぁ、そんなことを考えて、最後の晩餐ばんさんがカップ麺でいいのかよ、なんて思いもする。


そりゃあ当然だろう。


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〈一文空行型〉は、簡単に言えば【〈一文改行型〉を更に改行した書式】で、ケータイ小説やブログでよく使われる書き方です。


余白部分の多さから【文字が追いやすい】反面、〝書籍小説好き〟からは嫌われやすいのが難点です。

【一文が短めだと、かえって読みづらくなる】ことにも要注意。


これが一番読みやすいというアナタは、きっと詩がお好きですね?

小説では無駄に思える改行も、詩だと輝きを見せますものね。




この書き方の【問題点】は2つ。

【縦に長くなる】ことと、【文字バランスが悪くなりやすい】こと。


前者は、かなりイヤがられます。

長い小説を読んでいる時はスクロールすら面倒くさくなることってありますし、何より【中身が薄っぺらく感じられやすい欠点】もありますから。


後者は〝文字の黒さ〟と〝空白の白さ〟のバランスが崩れる――

簡単にいうと、「そんなに改行する意味ある?」と溜め息つきつき思われます。


実際、例文を眺めてどうでしたか? クドさを感じませんか?


【一文が短い場合は、改行・空行ナシに続ける工夫も必要】です。


大段落で6行くらい空けることを考えたら、小段落が白くてスカスカすぎると余計に間延びして見えるのでがんばって!




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◆ 書式番外:段落空行型(紙面スタイル・改)

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 お湯を沸かす。うつわそそぎ入れる。フタを閉じて箸を乗せて、あとは待つだけ。インスタントカップ麺の良さは、お湯さえあれば食べられることに集約される。


 だが問題は、この待ち時間にあった。


 何もかもが億劫おっくうで、タイマーすらかけない。キッチンタイマーは無くとも時計はあるし、手元のスマートフォンにはタイマー機能だってある。設定すること自体が面倒なのだから、どうしようもないだろう。


 では、その時間をどう過ごしているかというと、カップ麺を置いたテーブルの前に立ち尽くし、他愛もない、というか むしろクダラナイ思考にふけるのが私の日課である。


 ――3分後に世界が終わるとしたら?


 まず確実に、このカップ麺は美味しく食べられないだろう。推奨待ち時間を無視して10分置いて食べる方法が流行はやったとき、その逆で1分で食べ始めるという猛者もさも現れた。パリパリの食感を楽しみつつ食べていると、後半は柔らかくなったものが食べられるのだそうだ。


 んまぁ、そんなことを考えて、最後の晩餐ばんさんがカップ麺でいいのかよ、なんて思いもする。そりゃあ当然だろう。


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〈段落改行型〉に空行を増やして、少しでも読みやすくした形はいかがでしょう?


私は、この文体が〝創作小説〟の中で一番好きです。

これが読みづらいとすれば、内容が固茹でハードボイルド過ぎるか、話の流れが荒波過ぎるんじゃないかしらン。


「段落の大小をあまり意識しないで、【一文が長けりゃ空行いれて、短けりゃ改行で済ませる】臨機応変さもダイジだぜ!」


それはまぁ、特に【〈一文改行型〉と〈一文空行型〉を読みやすくする工夫】ですけれど。




〈段落改行型〉そのままでは画面が文字で黒くなって嫌煙されやすく、かといって〈一文空行型〉で書けば今度は白くてダレやすく……うーん、なんとも悩むところ。


大段落を意識して書くのは案外むずかしいので、〈段落改行型〉か〈一文改行型〉の「大・小段落1空行アレンジ」なんていいかもしれませんね。


先ほどは端折はしょってしまいましたが、〈一文空行型〉にもメリットはあるのです。

【余白を増やすメリット】とも言える話で、スクロールの手間を逆手に取って【スピード感を出す】ことができます。


ただし、一文1つ1つ、あるいは小段落を長く書く人向け。という。







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▼ まとめと余談

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◆ 段落改行型

1字下げアリ、段落ごとに改行

節などで1空行


◆ 一文改行型

1字下げナシ、一文ごとに改行

段落で1空行、節などで2-3空行


◆ 一文空行型

1字下げナシ、一文ごとに1空行

段落で2-3空行、節などで4-6空行


◇ 段落空行型(個人的に最推し)

1字下げアリ、段落ごとに1空行

節などで3空行


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――まとめると、こんな感じですね。


【投稿サイトの小説に限る】と、〈一文改行型〉〈一文空行型〉ともに【1字下げする】のが圧倒的に多いです。

個人ホムペでの公開作は、字下げしない傾向があるのですが……はい。


余談としては、同章内での【視点主交代と一部の場面替え】には、空行ではなく【〈仕切りセパレート〉を使ってほしい】なと。


* * *  であるとか、

●   であるとか、

☆でも◆でも何でもいいし、並べる数だって自由です。


ちなみに私は、空白を6つ置いて*を打つのが気に入ってます。




加えて。

新しい〈節:章の次に小さい単位〉の始まるところには、【通し番号 or 章ごとの連番】で数字を振っておくと、【感想等を書くときに説明しやすい】ので個人的に推しておきます。

( ´ ▽ ` )てへっ☆


短編でも長編でも、一節が長ければ投稿自体を分けているでしょうから、使ってもやはり記号かな…。


 ちなみに。


大・小段落で空行を入れない書籍では、【空けないからこそ、空行1つで視点主交代や時間経過などの節変わりを表現できます】。


同じく空行で表現したいなら、〈段落空行型〉では3行空け、〈一文改行型〉では4-6行空けをオススメ。


間違っても〈一文空行型〉で空行表現はいけません。

記号です、記号で表現するセパレートを使うのです……。



      *


――以上で『改行と空行の話』を終わります。

少しでもアナタの創作の糧になれたなら幸いです。


余談の余談ですが。

拙作『空想というか妄想というか』の実際の改行・空行は、【空行を強調としても使っている】ので、〈段落空行型〉の更なるアレンジになっていたりします。

気になりましたらこちらから。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897866348



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あずま八重


〔2017.09.11 作/2025.04.22 リライト〕


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