第4話 察する理由
放課後。俺は教室で優衣と1人きりになるのを待っていた。
「じゃーねー!また明日!」
「ばいばいー!」
俺たちを除く最後の1人が扉を閉めた。
少しの沈黙の後、
「じゃ、帰ろっか。」
「おう。」
いつものように裏口から外に出た。
お互い家に着くと15分程度で優衣が俺の家にやってきた。
俺と優衣の家はいわゆるお隣さんというやつだ。
だけど、俺と優衣の関係はそれだけに留まらない。
俺の両親と優衣の両親は同じ会社で働いている。
何でも大学の頃4人で起業し、それが上手くいき今では海外にもビジネスを拡大している。
もちろん4人共とても仲が良く、お互いが同じタイミングで結婚し、家も隣に建てたというわけだ。
そんな両親達は4人共、俺たちが高校に上がるのと同時に、海外転勤してしまった。海外の事業に力を入れるためだ。まぁ3年くらいで帰ってくるらしい。
なので、ご飯は毎日交互に作っている。今日のご飯の当番は優衣だった。
「今日は何を作るんだ?」
「今日はオムライスだよ!」
「おー.......」
俺の好物だった。
本を読んでいると、できたよーっと声が聞こえたので、食卓に行くといつもより豪華な料理が並んでいた。
「今日、なんかの記念日だったか?」
「何言ってんの!毎日が誰かの記念日だよ!」
「.......いや、それはそうだけど。」
「まぁまぁ食べて食べて!」
それは食べるけど。
「お味はいかがですかな?」
「美味しい。」
そんなの分かりきってる。
「もっと感想にレパートリーが欲しいです。」
「間違ったことは言ってないからいいだろ。.......まぁ店の料理より格段に美味しいから安心してくれ。」
「.......それで、頼み事か?」
「バレちゃった?」
バレバレだ。何年一緒にいると思ってる。
「だってこれぐらいしないと蓮やってくれないじゃん。」
そりゃそうだ。俺に頼るということは、優衣が出来なかったということだ。この時点で、嫌な予感しかしない。
「.......分かったよ。」
とりあえず、俺はオムライスの味を噛み締めることにした。
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