第8話 ソーニャ、狙われる

 私は豚山太男ぶたやまふとお。この学園の校長である。

 今、破滅の危機にある。

 ギャンブルやシャブ(覚醒剤)のため多額の借金を背負い、学園の金も使い込んでしまったからだ。

(……だが)

 一発逆転の秘策をひらめいた。

 この学園には、やたらと美少女が揃っている。


 すめらぎ琴葉。

 剣道部の剣崎刀子。

 元ピアニストのメスガキ、雌花めばなみのり。


 彼女たちの弱みを握って凌辱し、脅迫し、支配下におき……

 いずれは政財界の大物に売春を斡旋あっせんし、大金を稼ぐ。

 

 名付けて『学園・肉便器化計画』。


 この悪魔的な計画に気付く者など、誰もいないだろう。

 そして、計画の最初の獲物となるのが……

「校長先生、失礼しマス!」

 いまノックをして、入ってきた銀髪少女だ。

 私は応接用ソファを示し、

「やあラーゲルフェルト君。そこにかけたまえ」

 北欧からの留学生ソーニャ・ラーゲルフェルト。

 美しい顔立ち、起伏に満ちた肢体したい。『学園・肉便器化計画』の目玉にふさわしい。

(くくく)

 私は太った身体を揺らし、執務机から立ち上がった。ポットから紅茶を注ぎ、ソーニャの前に置く。

 紅茶には、たっぷり睡眠薬が混ぜてある。

 眠らせて睡姦すいかんし、弱みを握り、支配下に置く。

(そのうち、そこの執務机の下に隠れてフェ●チオさせてやる)

 わざわざ隠れフェ●チオしやすそうな、下のスペースが広い執務机に買い換えたのである。準備は万端だ。

 私は、ソーニャの向かいのソファに座り、

「今日、君を呼んだのはね。留学は順調かどうか尋ねたいからなんだ。さあ、紅茶をどうぞ」

 ソーニャはカップを取り……飲んだ! よし。五分も経たずに眠るはず。

 私は当たりさわりのない会話で、時間を稼ぐ。

「留学で、何か困っていることはないかね?」

「いえ、みなさん親切デスからっ」

 まさに純真無垢。この天使のような美少女を、これから私が奈落ならくへ突き落とすのだ。心が弾む。 

「校長先生、質問がありマス!」

「なんなりと聞きたまえ」

 にこやかに尋ねると、突然ソーニャの目が鋭くなり、

「アナタ私を、肉便器にする気デスね?」

「!?」

 なぜ……わかる!?

「簡単な推理デス……執務机が以前と変わっていマス。机の下でフェ●チオしやすい大きさにね」

(なんだその推理!?)

 コナン君でもわからんぞ。

「そして決定的な理由は——」

 ソーニャが私を指さしてくる。

 まさか、知らず知らずのうちにボロを……

「いかにも種付けプレスしそうな、太った不細工なオッさんだから、最初から『こいつレイプ魔だな』と思っていたのデス」

 それは酷くない?

 ちなみに種付けプレスとは、男が女を正常位で上からムリヤリ押さえつけ、中出しすることだ。

 私は、虚勢にも似た笑みを浮かべ、

「フ、フン……だがもう遅い。さっき君が飲んだ紅茶には、睡眠薬がたっぷり入っていてね。そろそろ意識が朦朧もうろうと……」 

 だがソーニャは涼しい顔のまま。眠る気配は全くない。

「な、なぜ、睡眠薬が効かない!?」

「簡単なことデス」

 ソーニャは、豊かな胸に手を当て、

「私は睡姦すいかんに備えて、睡眠薬を毎日飲んで耐性を作っていますカラ」

(なんだその備え!?)

 ひょっとしたら、とんでもない怪物と対峙しているのではないか。

 だが相手は、あくまで女の子だ。力尽くなら巨漢である私が勝つに決まっている。

「こうなったら無理矢理お前を——」

 立ち上がり、ソーニャへ駈け寄るも……勢いよく足を滑らせ、転んでしまった。

 床を見ると、ぬるぬるしたものが広がっている。

「こ、これは一体」

「さっきこっそりいておいた『疑似ぎじザーメン』デス」

 なんだその、イカれた言葉。

「私は凌辱でザーメンを飲むときに備え、毎日二リットルの疑似ザーメンを飲んでいマス。撒いたのは弁当の残りデス」

 シャブのやりすぎで、幻聴げんちょうを聞いているのか?

「さぁて、二度と悪さができナイよう……」

 ソーニャが、ゆらりと立ち上がった。

「足でチ●ポをシゴくために始めたサッカーの技で、あなたのキ●タマ潰しマース」

「ひぃい!!」

 圧倒的な、狂気!!

 シャブによる幻覚でも、これ程イカれたものは見たことがない。

 私はいつの間にか、狩られる側にいた。疑似ザーメンとやらに足を滑らせながらも、逃げ惑う。

「逃げても無駄デス」

「く、来るなぁ!」

 近づいてきたソーニャの肩を、苦し紛れに突く。

 すると彼女は勢いよく倒れ込み、後頭部を床に打ち付けた。

 そして……

 ソーニャは四肢ししをだらしなく投げだし、舌を出し、目を開けたままピクリともしない。

「う、嘘、だろ? まさか、死……」

 ソーニャの目の、瞳孔が完全に開いている。

 演技ということは、ありえない。

「こ……殺して……しまった……」

 私が、ふらふらと近づくと——

 股間にとんでもない激痛を喰らい、倒れ込む。

 ソーニャの長い脚で、蹴り上げられたのだ。

「〜〜〜〜!?」

「ひっかかりまシタね」

 ソーニャは立ち上がる……なんと瞳孔が開いたままで。

「な、なぜ!? どうして!?」

 ソーニャは己の眼球に、そっと人差し指を当て……

 コンタクトのようなものを取り出し、私に示す。

「これは私が作った『レイプ目コンタクト』。凌辱された際、完落かんおちしたと相手に錯覚させ、油断させる為のものデース」

 為のもの、と言われても。

 あまりの激痛で、仰向けで見上げることしかできない。

「さぁて。なぜアナタが私を肉便器にしようとシタか、教えてもらいまショウか」

 私は観念し、全てを白状した。

 多額の借金があり、学園の金も使い込んでいること。

 金を稼ぐため『学園・肉便器化計画』を立て、ソーニャは最初の獲物だったこと。

 ソーニャはうなずき、 

「なるほど。祖国にいるパパが教えてくれたことは、やはり正しかったのデスね」

(なに!?)

 この子のパパは——遠い北欧の地で、私のたくらみを見抜いていたというのか?

 神にも等しい英知。私のようなシャブ中とは大違いだ。

 ソーニャが、氷のような瞳で見下ろしてきて、

「面倒はイヤなので、しばらくは見逃してあげますが……私が卒業したあと、使い込みなどを自首しなサーイ」

「はい!!」

 私はいつしかソーニャ——否、ソーニャ様に忠誠を誓っていた。

 理由は、先程キ●タマを蹴られたとき、かつてないよろこびを感じたからである。

 世の中には『金玉蹴りプレイ』といって、キ●タマを蹴られて喜ぶMがいるというが……私も、その一員だったらしい。

 そして何より、ソーニャ様の底知れぬ狂気に、魅せられてしまったのだ。

「素直でいいデスよ校長。ご褒美に、私が射精管理してあげマース」

 歓喜で、胸が震える。

 ソーニャ様が、この薄汚い豚の射精を管理してくださるとは。

「いいデスか校長? 貴方が射精できるのは……」

「は、はい!」

 月に一回とか?

 辛いだろうが、ソーニャ様の命令なら耐えてみせる。


「一生に、ゼロ回でーす」


 蹴りでキ●タマを潰していただき、私は気絶した。








後書き:モチベーションにつながるので、

面白かったら作品の目次ページの、レビュー欄から

☆、レビュー等での評価お願いいたします


あと、ファミ通文庫から発売中のラノベ

『朝日奈さんクエスト〜センパイ、私を一つだけ褒めてみてください〜』

原作を担当した漫画

『香好さんはかぎまわる』

も、よろしくお願いします




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