お化け屋敷
中に入ると辺りは真っ暗で本当に何も見えない。
俺はアリスの服を掴んで歩いてる。
べ、別に怖いわけない……。ほら、迷ったら困るわけだし暗いし。
プシュー!!
いきなり竹林から物凄い音で鳴りだす。
「うお!」
「大丈夫。ケン怖くない怖くない」
「ふぇ、あぁ……」
大体、なんで人はこんなところに行きたがるのかわからない。
お化けなんて人の勝手な思い込みだ。居たらいいなってそうゆう思い込みなんだだから。そうお化けなんて……。
いきなり包帯を巻いたミイラ男が襲いにかかる。
「うわぁぁぁ!」
「「うぎゃぁぁぁぁ!!」」
すぐにアリスの腕にしがみつく。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 変なこと言ってすいません!」
アリスは俺の手をトントンとしてくれた。
「大丈夫、大丈夫」
慰めてもらうなんて兄としての威厳が……ちくしょう。
◇
アリスらニヤリと笑う。
「計画通り……」
中学の頃チャンネルを怖い番組にしたらすぐに変えられたし。1年前の文化祭もお化け屋敷は入らないよう避けていたから、おやこれは……と思いここに提案した。
館に入った瞬間に服を掴んでいたけど途中から腕にくっついて叫び出すから本当に嫌いなんだな。
「ア、アリス待って置いてかないで……」
怯えて涙目のケンにぃの顔も可愛い!
アリスはケンの頭を触りポンポンとする。
「大丈夫ケンにぃ。よしよし」
あまりこうゆうのしたことないから新鮮。
「アリスぅぅ……」
弱気な声で腕がガクガク震えているから本当に可愛すぎてニヤけちゃう。
「よーしよし。大丈夫だよ〜怖くないよ〜」
一箇所だけ明るい場所があった。
「ほらケン。もうすぐ出口だよ」
ケンの手を引っ張って出口に向かう。
「ア、アリスいきなり引っ張らないでぇぇ」
◇
お化け屋敷からやっと解放されてケンはテーブルがあるところに座って休んでいた。
出た頃丁度午後の1時になっていてアリスとお昼にしようとテーブルに座り俺の頼んだ料理をハンバーガーをアリスが代わりに持ってきてくれてた。
「お待たせー」
テーブルにハンバーガーとアリスが頼んだパスタを置いた。
「ありがとう……」
アリスはテーブル座り食べ始める。
「いやー楽しかったね」
「いやいや。怖いだろ……」
「あーそうだね。ケンにぃ私の腕にしがみついて「ありすぅ~」って叫んでたもんね」
口を尖らせて小馬鹿にしてきた。
「忘れろちくしょう!」
「にひひ」
小悪魔みたいな笑いでからかってくる。
「じゃあバツとして一口よこすんだ」
「仕方ないなケンにぃは~」
パスタをクルと一口にまとめフォークを差し出した。
「はい。あーん」
「はむ! モグモグ……」
乱暴に食べるがクリミーで濃いがベーコンの塩加減が抜群に効いて美味い。
「これで許すからな」
「はーい。それで次は何処行く?」
「そうだな……」
アリスが提案してくれてたばかりだからこっちも乗りたいもの……。
「コーヒーカップとか緩やかな方のコースターがあるからそれに乗りたいな」
「良いね! 両方乗りたい!」
アリスも賛成してくれて良かった。
「そういえば夜に観覧車が綺麗だって聞いてたんだけど乗るか?」
「え、観覧車!」
急に声をあげたからビックリした。
「嫌だったか?」
アリスは首を振っていた。
「ううん。観覧車乗ろうね」
「だな。それまでさっき言ってた場所行こうか」
「……うん」
食べ終えコーヒーカップに行き乗ってアリスは勢いよく回した。
「あははは!」
「うわぁぁぁ!」
立ちくらみし少し休憩を挟んで今度はコースターの方に移動する。
室内で稼働しているコースターで暗いのかと思い乗ってみるとデジタル綺麗な花火が何度も打ち上がってゆっくりと進んでいった。
アリスの方を見るとうっとりとしていた。
「綺麗だね……」
本当の花火は間近で見たことないから連れて行くのもありだな。
「アリス6月に祭りがあって花火があるんだが行くか?」
アリスはこっちを見て頷いた。
「行きたい!」
「よし。約束な」
「うん。約束だよ……」
今年はアリスと経験してないことを沢山しよう。
最後まで見終わり外に出てみると夕焼け空が暗くなっていた。
「じゃあアリス観覧車乗ろうか」
「え……。うん」
アリスは小さく返事をする。
観覧車の乗っている場所に移動し、係員が扉を開いた乗った。
「それではいってらっしゃい〜〜」
係員に手を振ってゴンドラがゆっくりと上がっていった。
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