9.29.ワープゲート
『おーい、そっちの話はどうなったー?』
「あ、フェンリルさん。大体分かりましたよ」
こっちも悪魔特攻の三狐がいるので、そっちはこいつらに任せればいい。
だがどんな攻撃をしてくるかなどは未知数なので、その辺のことを知っておきたいな。
「えーっと、レンさんの関係ない話を全部すっ飛ばして要約すると……」
「なんだって?」
まぁお婆ちゃんだしね。
無駄なお話とか多そう。
でもそれをしっかり聞いてようやくしてくれるベリル有能。
ベリルは少しだけ頭の中を整理する時間が必要だったのか、目をつぶって伝えることを明確にする。
小さく頷いた後に、悪魔についての重要な部分を教えてくれた。
「悪魔は森が侵食されると、そこの主として生まれる存在です。浸食された森が広くなるほど、使える能力は増えて厄介になります。闇魔法で森を動かしたり、死んだ動物や魔物をアンデットとして復活させて従えたりするらしいです」
うんうん、今のところは聞いていたところの振り返りっていう感じだな。
不死身の悪魔がダークエルフを埋めた場所に居たということと、そこに一つの穴があったということから、やはりアンデットとして一人のダークエルフを復活させたということになる。
この辺りは想像の通りだ。
「中でも最も厄介なのは、力をつけすぎた魔王に近い実力を持つ悪魔です。幻覚、不死、精神攻撃、毒などを使って戦ってくる為、森の浸食をどうにかする前に叩くというのはほぼ不可能らしいです」
『確かにそれは厄介だな』
「味方はアンデットでまた増やすことができますし、味方もろとも攻撃をしてくる悪魔がほとんどだそうですよ。レンさんも戦ったことがあるらしいのですが、その時は幻覚を操る悪魔だったようです。レンさんはそれを見破って単騎で倒したらしいですが……」
『へぇー』
幻覚や精神攻撃の魔法かぁ……。
むー、それは俺たちの仲間でも使える奴はいないなぁ。
一体どんな魔法を組み合わせたらそんなことができるのだろうか……。
闇魔法って言ってたし、それをもっと掛け合わすとできるようになるのかもしれないな。
今回は必要なさそうだけども。
……んでもって不死、か。
あの悪魔と同じだな。
しかしあいつは魔王が何だの言ってたし、魔王の配下っていうのは分かるんだが……。
何処かに自分の領地があるのか?
あんまり遠出とかしてなかったから分からんな。
まぁ今回は三狐がいるし、倒すことはできるだろうけどね。
こんな事ならあの時殺しておけばよかったなぁ……。
三狐も殺してくれたらよかったけど、あの時はあいつらの本当のこと知らなかったし、正体をばらしたくなかったから殺さなかったんだろう。
『大体のことは分かった。とりあえずあいつらのことを見つけなければな』
「ダークエルフですよね。確かに敵の動きが分からないと、奇襲を受けてしまいますから……」
『まぁこの辺は俺たちで何とかする』
臭いを辿れば、何とかなるかもしれないからな。
どんなに離れていても俺が集中して臭いを辿れば大体の位置は分かる。
風の吹いている方向で精度は変わっちゃうけどね。
「こんなところでいいかい?」
「あ、ありがとうございました。レンおばさん」
「いいさね。……?」
『ん?』
ピリリッ、と何かが流れてきた。
それは俺とレンにしか分からない物だったようで、他の皆は首を傾げている。
なんだこれ。
電気じゃない……かと言ってなんかの視線でもない。
これは……。
『……殺気?』
『!? リーダー、それはどちらからですか!?』
『いや、俺もなんとなくそう思っただけだから……殺気だと断言はできないんだが……』
『普通の殺気であれば我々は気付いてもおかしくありません! ですがリーダーだけが気付いたというのであれば、それは並大抵のものではないですよ!』
『そうじゃん!!!!』
ナイスだガルザ!!
そうだよな!
本来獣である仲間たちは人の数倍以上の危機察知能力を持っているはずだ!
だってのに俺とレンしか気付かなかった!
……じゃあ何でおれとレンだけ気付くことができたんだ?
何かしらの条件があるはずだが……。
普通ならガルザが気付いてもおかしくない。
実力のあるハバルもそれに気付いてもおかしくはないだろうな。
俺とレンにあって、こいつらにないもの……。
『魔力総量……じゃないな。魔法の練度とかか……?』
レンは特級魔術師だというし、人一倍魔法の特訓をしていたに違いない。
俺も多くの魔法を習得しようと思って色々頑張っていた時期はある。
それか?
そうだとしたら……!!
『何者かがここに魔法を仕掛けてくる!?』
『え!?』
『リーダー! それは誠ですか!?』
「なな、なんだどうしたガルザ! 俺たちにも分かるように説明してくれ!」
ガルザの慌てようを見て、ハバルは説明を求めた。
レンも何かに気付いたようで、すぐに家の中へと入ってしまった。
いやこれも憶測でしかないけども!
もしそうだった場合マズいんじゃないの!?
訳分からん魔法が飛んできてもおかしくはない!
『界! 結界をいつでも張れるように準備しておけ!』
『了解です!』
『ガルザとハバルはついて来い! セレナ! ベリルと協力して住民の避難誘導と仲間たちへの連絡を頼む! 人間と子供たちは東北へ!』
『あわわわ! あ、あいっ!!』
『承知いたしました!』
「だから説明をぉおおお!?」
『すまないハバル! 説明している時間がない!』
「なにぃ?」
ガルザはハバルを無理やり背中へと乗せ、俺と一緒に走り出す。
俺は一度遠吠えをして、仲間に今の状況を説明した。
戦える仲間はすぐにでもこちらへと来てくれることだろう。
ピリリとした空気が流れてきたのは南西。
奥には森がある。
おそらくそちらから何かが流れてきているのかもしれない。
『兄ちゃん!』
『相変わらず速くて助かる! ベンツ、偵察を頼む!』
『分かった!』
ベンツが俺の指示に従って一瞬で消える。
それとほぼ同時だった。
南西に、大きなワープゲートが出現したのは。
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