第19話 姉とプールと俺の気持ちと
未那とのデートが始まり、二人で遊園地に来てから数分後。俺たちは今コーヒーカップの中にいた。
こうして改めて今の状況を考えると、何だか複雑な関係になってしまったなと思う。
客観的に見ればきっと俺たちはただの遊びに来たカップルだろう。まあ、不釣り合いなカップルだけど。
しかし、俺たちは姉弟。しかも俺は姉から好意を寄せられている。
今までは俺が二人の気持ちを知っている事を誤魔化しながらも、姉妹と距離感を保ちながらスキンシップをとっていた。
しかし、今ははっきりと自分の気持ちを伝えてくれている柚羽がいる。いつまでも姉妹と中途半端な関係を持っていることは出来ない。
もうそろそろ、この事実を二人に言わなきゃいけないな……
「ゆうくん!大丈夫?ぼーっとしてた?」
「…あ、ごめん、大丈夫だよ」
こんな事を考えていたせいで、未那に心配をかけさせてしまった。今は姉さんに真剣に向き合わないと。
一通りアトラクションをまわると、時計は十二時をまわっていた。お昼の時間だ。
午後からはプールに入るし、ここで一旦お昼ご飯を食べよう。俺たちは近くのベンチに座り、お弁当を開く。
未那の作ってくれたお弁当はとても良く出来ていた。から揚げや卵焼き、ウインナーに野菜などの惣菜。もう一つのお弁当箱を開けると、中にはサンドイッチがたくさん入っていた。
栄養バランスまで考えられていて、見た目から美味しそうなのが伝わってくる。
「いただきます」 そう言って串に刺さったから揚げを口に入れようとした時だった。
「待って、あ〜んしてあげる」
あー…やっぱり?何となく察してたけども…
そう言われ、俺の手元のから揚げが未那の元へ。
「はい、あ〜ん♡」
そう言って、未那は手に持ったサンドイッチを俺の口元へ…ってさっきのから揚げは!?
から揚げじゃないの!?食べたかったのに!
まあ、サンドイッチが来たんだ、仕方ない。俺はサンドイッチを口いっぱいに入れてもらい、頬張った。
「どう…かな?」
「うん、美味しい!やっぱり料理上手だね姉さん」
「ほんと?嬉しい!良かった〜…」
とは言うものの、実はそんなに味わえてなかった。姉弟だからか、何か変に緊張してしまう。
そこからは、ほとんどあ〜んをしてもらって食事を済ませた。緊張であんまり味分からないのに…何だかとても申し訳ない気持ちになった。
◇
食事が終わった後、本来の目的であるプールに来た。
「しかし人が多いな…」
休日というのもあり、プールの中は平日の満員電車状態。家族連れから他のカップルまで、プールで遊んでいる。
「じゃ、着替えたらまたここで」
そう言ってお互いに更衣室に向かい、水着に着替える。
正直、少し姉さんの水着姿を楽しみにしている自分がいた。姉の水着姿に期待している俺は変態なのか…?そんな謎の背徳感に襲われる。
水着に着替えた俺は、早速合流場所へと向かう。すると、先に着替え終わっていた未那が二人の男に絡まれていた。
ああ、やっぱりそうなるか…絡まれている未那はとても嫌そうな表情をしている。
早くいかないと、そう思っていた時だった。
「ねぇ君可愛いね、俺たちと一緒に泳がない?」
「は?何で私があなた達と泳がないといけないんですか?」
冷たい声で未那が男に質問する。
「え?ああ、可愛いなーって思ったから…」
「申し訳ないですが、私はあなた達がそんなにかっこいいとは思わなかったので、遠慮しときます。」
「あ、はい…」
うわぁ…あれめっちゃキツそう…若干涙目だよ、あの二人。
てか姉さん強いな…もし俺があの男だったらメンタルぼろぼろだよ…
俺は急いで姉さんの元に向かった。
「姉さん大丈夫だった?遅くなってごめん」
「もう!ゆうくん遅いよ!男の人に襲われそうになって怖かったよ〜」
いや…見た感じ全然大丈夫そうだったんですけど…むしろ姉さんが圧倒してたんですけど…
「もう、早く一緒に入ろ!」
そう言いながら未那は俺の腕に抱きついてきた。って姉さん!?
水着だから露出度が激しくて素肌が当たって大変だ姉に邪な感情が湧いてしまういやいや待てダメだってこれはやばいってええこれは。非常に良くない。
俺は落ち着きを失った状態で、未那とプールの中へと向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます