第10話 久しぶりの普通の生活
瑠那と二人で放課後デートをした日の夜、俺は自室で考え事をしていた。
瑠那から聞いた姉妹の母親の話。話を聞く限りでは、とても優しそうでいいお母さんだと思った。
しかし、話している時の瑠那の表情は今まで見たことのないような悲しげな表情をしていた。
気になる事はあるが、あまり深掘りするのは良くないと思った俺は、瑠那に質問するのを止めておいた。
瑠那に辛いことを思い出させたかもしれない。気になった俺は瑠那の部屋に行く。
部屋のドアを叩くが、返事がない。恐らくお風呂にでも行ったのだろう。
今しかないと思い、部屋に入る。いつものように勉強机にある『姉妹ノート』をチェックする。しっかりと今日の分も更新されていた。
『今日はお兄ちゃんと放課後デート!楽しかったな〜、でもいきなりお母さんの事聞いてくるからびっくりしちゃったよ…話聞いてた時のお兄ちゃんの顔…かっこよかったな♡
襲いたくなっちゃった♪お兄ちゃん大好き♡』
んー、もう何でもありじゃないかな?ここまで来たら…
しかも俺の事襲おうとしてるよね!?♪マーク付けて言わないでそんな事!
「何か心配して損した…」
思った以上に母親の話について無関心な事が分かり、安心した一方、明らかにエスカレートしている恋愛感情を確認し、心配になった。
◇
翌朝、いつもなら俺の事を起こしてくれるはずの未那がいない。
気になった俺は静かに未那の部屋のドアを開ける。そこには、ぐっすりと眠っている未那がいた。
未那の顔を見る。とても綺麗な寝顔なのだが、いつもより頬が赤い。触ってみると、とても熱かった。
「うぅ…ゆうくん…?」
「起き上がらなくていいよ、そこで安静にしてて」
起き上がろうとする未那の体を静止させ、リビングに向かう。
薬と熱冷ましのシートを用意し、未那の部屋に持っていく。
未那に薬を飲ませた後、瑠那の様子が気になり部屋に向かう。
案の定、瑠那も熱を出していた。なんと言うか、流石姉妹だと思う。
二人を安静にさせた後、制服に着替え、朝食を済ませた俺は一人で学校に向かう。
久しぶりの一人での登校。久しぶりの普通の生活に、俺はワクワクしていた。
しかし、その時は知らなかった。この日を境に、更に普通じゃない生活が始まる事を…
◇
一日が終わり、放課後を迎えた。とても自由で、有意義な一日だったと思う。
何より、周りの男子から冷たい視線を向けられる事が無いのがとにかく嬉しかった。まあ、それも今日だけなんだけどね。
リュックを背負い、帰ろうとした時だった。
「あの!優弥くん!」
ふと、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。振り向くとそこには、うちの学年一の美少女と言われている福尾柚羽 (ふくお ゆずは)がいた。
長くて綺麗な髪、大人っぽい顔つき、そしてかなり膨らみのある胸。西日に照らされたその姿は、まるで天使のようだった。
しかし、そんな美少女が何故俺に話しかけて来たのか。
「ん?何?」
聞いてみると、柚羽は衝撃的な一言を口にする。
「私、優弥くんの事が…大好きです!」
……え?
何を言っているのか、この美少女は俺の事が好きらしい。
……はぁ!?俺、ほとんどこの子と面識無いよ!?ってか何!?俺モテ期来てるの!?
頭の中がパニックになった俺は、動揺を隠せずにいた。
「…だめ…かな?」
そう言って柚羽は上目遣いで俺を見てくる。
何で俺の周りの可愛い子は上目遣いが上手なの?上目遣いの特訓でもしてるの?
しかし、気持ちは嬉しいがこれを姉妹が認めてくれるだろうか。もしバレたら…そう考えると、身震いがする。
「ちょっと…考えさせて!」
考えた結果、この一言しか思いつかなかった。
家に帰って考えよう。そう思った時だった。
「そっか……じゃあお試しで一週間、付き合ってみない?それならしっかりと考えられるでしょ?」
そこまでして俺と付き合いたいのか、柚羽が思い切った提案をしてくる。
しかし、これには断れない自分がいた。あくまでもお試しだし、考える材料としては十分だし。
「分かった、それならいいよ」
俺は柚羽からの案を了承した。
「ほんと!?優弥くんだ〜い好き♡」
そう言って柚羽が俺の腕に飛び込んで来た。
おお…瑠那とは違ってこちらも中々…じゃなくて!
「じゃ、一緒に帰ろ?」
「あ、あぁ…」
こうして、更に普通じゃない生活が始まったのだった。
…
今回も読んでいただき、ありがとうございました。
報告なのですが、作者の都合により、今日から一週間ほど更新できません。
楽しみにしてくださる読者の皆様…本当に申し訳ないです……(´•ω•̥`)
なので、是非この期間で一話から読み直したり、もう一作の方を読んでくださると嬉しいです!
よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます