第10話、すれ違う二人-風香side-
『良かったな、話だけでも聞いて上げたらどうだ?』
そう聞いた瞬間、涙が出てきてしまった。
私はこんなに晴樹の事が好きなのに、どうして伝わらないのか。
勇気を出して腕を組んだり、昼ご飯を食べる時にあーんだってしたし、そして晴樹の部屋で晴樹を押し倒してキスまでしようとした。
いつもの帰り道に私が晴樹に好きだよ、って言った時に晴樹は私に『俺も大好きだよ。』って言ってくれた。
言われた時に嬉しくて、嬉しくて、どうしようもないくらい幸せだった。
だけど、朝の出来事があってから自分が馬鹿らしくなった。
今の晴樹は、記憶を失ってしまって、私の我がままに付き合ってくれていただけなんだ。
そんな事分かってた筈なのに私は、晴樹に馬鹿!と言ってしまった。
折角教室で晴樹が謝りに来てくれたのに私はどうしたらいいのか分からなくて、逃げてしまった。
そして菜月まで巻き込んでしまって、私は今菜月とお手洗いに来ていた。
そんな私の様子を見て、菜月は心配して理由を聞いてきた。
『風香、晴樹くんと何かあったの?』
『.....................うん......』
私が返事だけをすると、菜月は困ったようにため息をついてこう言ってきた。
『今の風香と晴樹くんを見てるとね私、凄く辛いの。』
『だから何があったのか教えて欲しい。』
『相談にのるからさ』
菜月は私に何かあると、いつも相談に乗ってくれる。
なのでいつものように私は菜月に、朝にあった出来事、そして今の私の気持ちを全て打ち明けた。
すると菜月は少し悩んで、小さく呟いていた。
『.........晴樹くん何やってるのよ。』
(違うの菜月、晴樹が悪いんじゃなくて。。)
キーンコーン、カーンコーン。
すると授業の始まる予鈴のチャイムがなってしまって私と菜月は何も解決しないまま教室に戻るしかなかった。
そして、私は昼休みにその悩みを抱えたままラブレターをくれた人物が待つ校舎裏へと向かっていた。
………………………
読んで頂きありがとうございました!!
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