第24話■ 奉仕部の活動記録 小倉みさ

思春期の女子生徒の中には、ごく自然に、心の奥底から奉仕精神を湧き立たせてしまう者たちが、確かに存在していた。


小倉みさは、二年生の文学少女だった。

高校生にしては珍しく谷崎潤一郎を好み、物静かで控えめな性格。夏でさえも日焼けとは無縁の、透き通るような白い肌。そして、一度も染められたことのないであろう黒髪はまるで古い絵画の中から抜け出してきたような美しさを宿していた。


彼女は、奉仕部の中でも数少ない“志願組”のひとりだった。

部員たちはそれぞれ、活動ノートを携え、自らの奉仕を記録することを義務づけられていた。


活動記録


活動内容:掃除(図書室)

詳細:本棚の清掃を行いました。

感想:脚立使用時に、男性教員が下から支えてくれていたので、安心して作業できました。


活動内容:掃除(職員用男子トイレ)

詳細:放課後の15:30〜15:50 主に小便器と床の清掃を担当

反省:清掃中に隣の便器に先生が来られたため、反対側に移動しようとしたところ、「最後まで丁寧に清掃するように」と放尿中の先生からご指導をいただきました。

今後は、先生方がより快適にご利用いただける環境づくりを意識して奉仕に努めたいと感じました。


活動内容:挨拶

詳細:登下校時のあいさつ活動

感想:普段あいさつを返してくれない今村さんが、今日は返してくれました。ちょっと嬉しかったです。


小倉は、奉仕部の中でも“エキスパート枠”とされる、特別な生徒だった。

そのため、部員の中でも限られた者しか任されない“教員トイレの清掃”といった、名誉ある活動を許されていた。


この任務が名誉とされる理由は単純で、それが“教員に関わる活動”であるからだった。

学校内で教師に良い印象を与えることが、内申点などに微妙な影響を及ぼすケースは、実際に少なくない。


もっとも、小倉の場合は、それだけではなかった。

彼女の奉仕には、どこか“自己鍛錬”のような色があった。内申のためではなく、むしろ自身の“女性力”を高めるために取り組んでいるような、そんなストイックな姿勢が垣間見えた。


そのため、彼女は奉仕部の中でも一目置かれ「奉仕の鑑」として、特に男性教員からは静かな人気を集めていた。

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