ヒトデなんだから。
「マーーーーーベラーーーーーーーーースッ!!!!」
ついついそう叫んでしまう程の爽快感。
強烈な黄金の光に包まれたニルヴァーナ。
『生まれ変わった』
ニルヴァーナはそう感じていた。
まず腕だ。
突き出た腕はまるで棒。
むしろ腕ですら無かった。
そりゃそうだヒトデなんだから。
だが!今はまるで指まで生えたかの様に自在に動く。
コレならば触手を生やさなくてもイイコトできるやもしれん。
そして足。
前までは足というかむしろ棒だった。
足ですりゃ無かった。
そりゃそうだヒトデなんだから。
それが、だ。
今すぐ駆け出したいぐらいしっかりと大地を踏みしめている。
そうヒトデ大地に立つ。
これが叫ばずにいられるか!
「マーーーーーベラーーーーーーーーースッ!!!!」
黄金の光が収束しニューニルヴァーナがその姿を現す。
「―――――ぶっふぉっ!!ニ…………ニル」
オレの目の前にはアラク少年が跪き此方に手を伸ばしている。
さながら神に平伏する神官の様に。
「どうしたアラク少年?ニューニルヴァーナの神々しい姿に眼でも潰れたか」
「ひぃっ~~~~~~~~~~~わ…………わっ」
「ん?どうした?わ?」
「こっち向かないで………笑い死ぬ!!!!ぶふふふふっ!!!」
「何だと!アラク少年!一体どう言う事だ?」
「ひぃっ…ひぃ、ふぅ~ちょっと馴れてきた。一度自分の格好見て来なよ」
「ふむ」
元々ネタの様な存在だったが遂にネタになってしまったのか俺は。
一末の不安を抱えながら鏡代わりに水魔法で地面に水溜まりでも作る事にした。
水魔法LV1水生成。
魔力消費は1ポイント。
どうやって使うんだろう?
そう疑問に思った瞬間、身体が勝手に言葉を紡いでいた。
「清らかなる水よ――――
眼前に広がる木々をなぎ倒しながら直径10メルトル程の小さな湖が出現した。
産まれたばかりの湖の水面はその中心から外側に向けて揺らめいている。
周囲の森をその水面に映し、小さな波紋が連続して産まれる様子はまるで
ふるえるぞハート。
燃え尽きるほどヒート。
刻むぜ血液のビート。
「ふふ。昭和を感じるな」
俺が感慨にふけっていると、やがて水面は揺らめきが収まり、周囲の木々と自らの姿をハッキリと写し出した。
そこには大きな青い星形の不気味な生物が立っていた。
それは星形と言うにはあまりにも不気味だった。
真っ赤な肌はぷるんとした餅肌で中央には愛くるしい単眼の瞳が座している。
正直それだけなら良かった。
ブサカワとキモカワとか言われる類のマスコットキャラとして成立している。
問題は手足だった。
そう、人の手と足が映えていた。
映えていたのだ。
不釣り合いなほどの剛毛を携えて。
「えっ?何これ??めっちゃきもいんですけど」
45センチルの星形の胴体に大人の人の手足が生えているのだ。
言ってみればモビルアーマーであるボールに無理矢理ジムの手足を生やしてモビルスーツに仕立て上げた様な不釣り合いさがあるのだ。
せめてこの手足が子供の手足だったなら。
そう悔やまずにはいられない。
「ぶぶぶっ・・・ニル。良かったじゃないか手足。ぶふっ!!よ・・・・・・く似合ってるよ」
「吹とるやないか!!!」
ズビシ!!
「へぶらっちおっ!」
アラク少年の様子につい突っ込んでしまった。
錐揉みしながら吹っ飛んでゆくアラク少年。
筋張った剛毛の豪腕。
「ふむ」
キモいけど腕が在る。
それ自体は感謝だな。
このまま進化していけばいずれ俺は人型になるのでは無いか。
人型になればあんな事やこんな事。
そう、そう言えば触手も生やせそうなスキルも取ったし。
人型であって人では無い。
だから触手生やしてぬめぬめ触手プレイとかも愉しめる。
圧倒的愉悦!!
良いじゃ無いか!
だってヒトデなんだもん。
「やっと見付けたぞヒトデ!!」
そんな時だった。
俺の目の前にほぼ半裸の痴女が空から降り立ち俺の事をズビシと指刺したのは。
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