あなたはアースクライマーを笑えない 『Earth climber』

【作品情報】

『Earth climber』 作者 真花

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896027807/episodes/1177354054896027812


【紹介文】

 さくらが道に出ると、男がうつ伏せの状態で頭の方に進んでいた。訊くと「地球を登っている」と。西こそが彼にとっては登るべき方向であると言う。そのパッションにあてられている内に、自分自身が人生の方向性を決められていないことが強く浮かび上がる。

 一度は別れるが次の日、さくらは男に「人生をどうやって決めるのか」を問いに行くことに決める。


 地球を登る彼をあなたは笑うだろうか──。いや、そりゃあ笑うだろう。傍から見れば、地面を這っているようにしか見えないのだから。笑うなり、見て見ぬ振りと洒落込んで澄ませるなら未だ良し、最悪通報という選択肢だってあり得るやもしれない。

 しかし、地球を登る男──アースクライマーのシゲさんは云う。


「そこに地球があるから、登りたい」


 眩しいほどの笑顔で、"それ"は人生を懸けるに足ると断言する。

 地球を登るシゲさんをあなたはバカだと思うかもしれない。しかし、ここで一旦立ち止まって考えてみてほしい。ここは小説投稿サイトなので──些か安直ではあるがあなたがプロの小説家になりたいと志していたとしよう。何千何万という字数を書けど、何十何百という作品を書いて送れど一向に見向きもされない──そういうアマチュア作家の一人だったとしよう。

 それでもなお、決して挫けまいと筆を投げ出さぬあなたを傍から見て、「バカ」だと思うヤツが全くいないとはたして云い切れるだろうか。自らの人生を懸けるに値する"何か"へ向かって頑張る人は、ときとしてバカに映るものである。

 目標を達成する上でポジティブな未来像を思い描くことが科学的に推奨されない理由は、明るい将来をイメージしただけで脳が満足してしまうからである。肝心の行動にシフトしないのである。

 イメージという名の足踏みはリアルを呼ばない。リアルを呼ぶのはただひとつ、リアルだけである。

 シゲさんは云う。


「頂きと言うリアルの先にはさらに面白いことがあるんだ。それはいつもそうだ。だから、目標を達成することを恐れてはいけない。次は必ずあるから」


 あなたに人生の目標と呼べるものがあったとして、その"頂き"は何処だろう。その頂きから次なる頂きは望めるだろうか。あるいは、山の中腹辺りでもっと心惹かれる別の頂きを見つけるだろうか。

 あなたがあなただけの頂きを目指し、直向きに歩むその姿は、いつか誰かの心を奮い立たせるリアルになるかもしれない。

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