コロナ禍の高校生は、青春を突然奪われました。
インターハイも、体育祭も、修学旅行も、私たちはありませんでした。世間からは空白の期間で高校生活をしていたと思われているでしょう。
でもね、あの夏も生きていたんですよ。必死に。
2020年、あの夏も青春はあったんですよ。
急に部活をするな、だとか。
急に会話は必要最低限、学校も来るな、とか。
「楽しい」も「目標」も「夢」も「憧れ」も全部、奪うなって思っていた。奪われてたまるかって意地になっていた。
朝田さやかさんの物語は、苦しいほどに爽やかで、鮮やかで、青春が鮮明です。
バレーボールの感触も、泣くほど悔しい心の痛みも、全部含めて「生きていた」って、定義してくれる。
大人じゃ、この話は書けないです。
あの夏を生きていた高校生だから、書ける物語です。
つべこべ言わずに、読めよ。何も知らない大人こそ。
部活をやってきた人たちにとって、ある意味当たり前に存在していた「最後の大会」
それを奪われた主人公の喪失感や苛立ちや熱量、それらがとても自然で、等身大な文体で描かれているのが良かったです。
あの頃の、熱。あの日々でしか感じられない感情の揺れ動き。
大人になった自分も思わず瞳を潤ませました。あんなに素直に感情を出せる日々が自分にもあったなあと……。
文章としては、読みやすく、癖のない文体だなという印象を受けました。もちろん、良い意味で引っかかりを感じない滑らかな文章、という意味でです。
あえて課題を挙げるなら、情景描写で読者の心に残るワンフレーズがあればなあと個人的には感じました。小説の印象を後に思い出した時に、自分がまず思い浮かべるのはインパクトに残る「ワード」なので。
最後に。作者様の他の作品も読んでみたくなりました。良い小説に出会えてありがとうと言いたいです!
それでは、なむなむ。
本作品は、バレーをテーマに描かれた素敵で切ない作品。
練習試合のシーンなんかも綺麗に描写されている短編になってます!
目指すべきゴールが消える。
私も部活をしていた学生時代を思い出しながら、読み進めました。
ジャンルは違えど、友人と共に目標に向かって絶対優勝しよう!と、学生時代は真っ直ぐに引退まで部活の日々に明け暮れましたことが、目に浮かびます。
今年、2020年は胸が苦しかったのを今も覚えています。
目の前で絶望に打ちひしがれていく後輩たちを見て、正直言葉が見つかりません。
「青春」を感じられる大きな理由の一つは、部活動。
時には喧嘩して、時には褒め合って、泣いて、逃げ出したいときもあって……。
それでも、同じ目指すべき目標があるから、頑張れる。
それが、まさかの幕引き……。
この物語は胸が痛くなるでしょう……。
特に、この年直接的に被害を受けた学生には、かなり共感する部分が多いはずです。
いつか、その青春が取り戻されることを祈るばかりです。