第14話

放課後になるのが怖かった。


放課後になると タクミ君とは終わりにする、

そう決めたから。


タクミ君のことが好きになって、

タクミ君と初めて手を繋いで、タクミ君とセックスをして、

タクミ君がかなり好きになっていた。


放課後になるまでに、また好きになった。


だけど、もうこのままにはいられない。


タクミ君が教室に迎えに来て、私を後ろから抱きしめた。

「みんないる~」

「いいじゃん」

「見られてる」

「帰ろっか」

「うん」


タクミ君が笑ってて、タクミ君は優しく手を繋ぐ。

「俺さ~アズって呼んでいい?」

「え?」

「え?」

「あ、いいよ、」

「アズ、ボーっとしてるね」

「ちょっと・・・」

「どうしたの?」

と言って、両手で私の顔を優しく包んだ。


「私・・・」

「ん?」

「私ね、あの・・」

「なに?」

タクミ君が優しくて、かっこいい声で言う。


「別れる」

「え・・?」

「タクミ君と、」

「・・・」

「別れる」

「やだ」

「別れる」

「別れない」


タクミ君が握ってる手を強くした。

私の顔をしっかり見て、頬を優しくつかむ。


「なんで?」

「私が、だめなんだ」

「だめって?」

「私、タクミ君意外の人と・・・」

「人と・・・?なに」

「わたし・・・」

「うん・・・」

「した」

「したの?」


タクミ君の手が離れた。


私、自分が悪いのに、涙が溢れた。

その涙をタクミ君は指で拭う。


「俺ん家いこ」


タクミ君はまた私の手を握りしめた。

なにも言わない私の顔を覗き込む。


「行こ?」


タクミ君は、重い足の私をゆっくり引っ張った。



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