第11話
「アキっ!!」
気づいたら、私はアキの方に走っていた。
気づいたら、私の足は止まらなかった。
アキが立ち止まってこっちを見る。
「なに?」
少しそっけなく言い放たれた。
「アキ・・・」
「うん」
「アキ・・・」
「うん?」
「なんで?もう会わないの?」
「だって、アズに男できたじゃん」
「アキだって、彼女いるじゃん」
「・・・・・」
「・・・・・」
2人は沈黙になる。
そしたら急にアキが歩き出す。
私は黙って付いていく。
アキがなにも言わないから、
アキが何考えてるかわかんないから。
アキの横顔が、怒ってるようにも見えるし、不安な顔にも見えた。
眉間に皺が寄ってて、唇が少しとんがってる。
さっきより早歩きになったアキ。
私も頑張って早歩きする。
「なに?」
次は急に立ち止まって、眉間の皺にぎゅっと力を込めたアキ。
「ねえ、アズ、なに?」
「・・・・・。」
「黙んなよ」
「じゃあ、言ってよ、なんで会わないの?」
「なんでって・・」
「なんで?ってなるじゃん、普通」
「俺、嫌なの」
「嫌?」
「アズが他の男とさ、エッチとか、キスすんの」
「は?」
「勝手だろ?俺」
「うん」
「アキに触れたら、アキが欲しくなる」
「勝手だよ、」
「わかってる」
「アキは私のなんなの?」
「・・・・・」
「アキは、私のなに?」
「なんでもねえ」
「え?」
「アズのなんでもねえ」
アキが下を向いて、「なんでもねぇ」ともう一度言った。
私がアキの顔を覗き込む。
「泣いてんの?アキ」
下を向くアキと目があった。
「泣いてねえ」
ちゃんとアキの目を見た。
アキも私の目を見た。
「そんな顔で見んなよ」
「そんな顔?」
私はアキの顔を覗き込んだまま聞いた。
「してやるっ」
キスだった。
「もう、知らねえ」
「・・・・・・。」
私は覗き込んだ変な体制のまま動けなかった。
アキが私の腕を引っ張り、引き寄せた。
「なにすんの!!」
私はアキの手を離した。
「アキ、わかんないよ!!」
「うん」
「うんって、、、なに?」
「俺もわかんねえ」
「じゃあ、キス、、、しないで」
「ごめん」
「謝んなっ」
「ごめん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
アキは「家まで送る」と言った。
2人で無言で歩いた。
アキの手が何度か当たった。
>>>
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