君の好きな人の好きな人

夏空 花火

第1話 

「このあと、どうする?」

放課後の教室、真ん中でおしゃべりしているグループの会話が聞こえてくる。

「カラオケとか?」

「えーまたカラオケ?」

 教室の隅から、盗み見る。あなたの楽しそうな顔。あなただけがカラフルで、あとは、マネキンが置かれている。そう思っていた。でも、違った。

「来週から、期末試験でしょ?ちゃんと勉強しなきゃ」

 同じグループの彼女の声が色を帯びる。ね?、と彼女とあなたが目を合わせるだけで、二人の世界が出来上がっているのを感じた。

 私の色が、頭から足元までストンと抜け落ちていく。私こそがマネキン。マネキンのくせに涙が出そうになる。

目の前のやり取りから、目を逸らした。

君と目が合った。

鏡かと思った。

私と同じ顔をしていたから。下唇を強く噛み締め、涙を我慢している私と。

 どうして、君がそんな顔をしているの?

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君の好きな人の好きな人 夏空 花火 @natsuzora-hanabi

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