第19話繋がる

「加山さんが呼んでいた子は今も居ますか?」

「居ませんよ!最後によく呼んでいた子が辞めた後、来ていませんね!加山さんは普通女の子とは一回が多くて二回でも珍しいのに、この子は半年程で十回も呼んでいます、時間は一回殆ど三時間ですね」

「その子の名前は判りますか?」

「この店ではかつみちゃんって名前ですね、勿論源氏名ですよ」

「かつみ?」声が変わる一平。

「繋がりましたね!初島!」興奮を隠せない二人。

「本名は?」

「一応は履歴書の様な物は書いて貰うけれど、殆ど出鱈目でしょうね、事情が有って働く女の子も居るし、小遣い欲しいだけで来る子も居ますからね、日払いですから、一日で来ない子も、中には客の前から逃げてしまう子も居ます」

「写真は残っていませんか?」

「一年程度は保存していますが、何しろ膨大ですから削除します。後々有名人に成る子も居ますので、トラブルの元に成るのですよ」

「そのかつみさんの本名と住所教えて下さい」

「関係無いと思いますし、多分出鱈目だと思いますよ」

そう言いながら、本名 須藤瑠衣、最寄りの駅は武蔵小杉駅に成っている。

それは出勤すると交通費が、片道出して貰えるからだ。

男が武蔵小杉を説明して、本駅にはJR東日本と東急の2社5路線が乗り入れ、接続駅としての役割も果たしている。

JR東日本の駅には、南武線・横須賀線・湘南新宿ライン、帰宅時間の遅い仕事に就いている人も、武蔵小杉ならある程度の時間まで融通が利くので便利だと感じられるはずです。

横浜まで12分、品川まで10分という中間点となっているので、どのエリアに移動するにも不便を感じることはありません。

「でも全く知らない地名を書かないでしょう?」

「メゾンむらさき308号室か!」

二人は興奮しながら事務所を後に、明日この住所を調べる事にする。

「でも初島で一緒だった女性が同一人物なら、時間が余りにも長くないか?」

「そうですね、この店のかつみちゃんが気に要って名前を使った?」

「偶然再会して、良い仲に成った可能性も有るな」

風俗好きの桂木常務が最後に四時間も呼んだかつみに二人は興味を持った。

事務所を出てしばらくすると、携帯が鳴って先程の桜塚が「このかつみって子の面接をした森繁って人静岡県の出身で浜名湖の近くです」と連絡して来た。

電話を終わると「浜名湖の近くだな?事件と関係有るのか?森繁進?」一平が首を捻る。

「桂木常務は浜名湖の近くの舘山寺温泉で死体が発見されましたが、風俗の面接した男とは繋がらないですよね」

住所と名前を手帳に控えて、ホテルに向かっていると白石刑事が連絡をして来たが、予想した通りで収獲は皆無で携帯の事実も掴めず。

接待に年に数回使っていただけだった。


翌日武蔵小杉に聞き込みに行く四人、多分無いだろうと思われたが、メゾンむらさきは大きな十階建ての高級マンションで、3LDKの部屋が308号室でファミリー向き。

今の住人は須藤とは似ても似ていない宮本に成っている。

一応住人に尋ねるとここに住んで十年に成りますが、須藤瑠衣と言う名前には全く心当たりが無いと答えた。

「店長が言った通りでしたね、履歴書は全くの出鱈目でしたね」

伊藤の言葉が総てを表わして、四人は殆ど武蔵小杉では成果が無く静岡に帰って行った。


自宅に帰るのを待ちかねていた美優は、一平の東京での聞き込みに期待を持っていた。

総ての事を話し終わると「その須藤瑠衣って子がかつみって源氏名で店に出ていて、そして加山と云う名前で何度もその子を呼んでいる、その子が辞めると急に桂木常務さんは風俗に行かなく成った、間違い無くその子を気に要っていたわね」

「それは判るのだけれど、その子が何処の誰か判らないし、初島の子と同一人物の確証は無い」

「大きなマンションのその部屋には、宮本さんって人が十年前から住んでいたよ!何故その様な住所にマンションの名前が浮かんだのだろう?嘘なら全く無い事を書くでしょう?何か関係が有るのよ!何かね!」そう言って考え込む美優。

「浜松の男はどう思う?」

「一応は調べて見たら?その人が事件に絡んでいるのなら、この事件は解決するけれど、足立伸子さんの事件とは全く関係が無いから、違うと思うわ」美優は森繁の話を切って棄てた。

美優は足立伸子と桂木常務の事件は同一犯の犯行で間違い無いと思っていた。


翌日県警は森繁進を調べる為に、一平と伊藤を自宅に向かわせた。

自宅には両親が住んでいて、息子は漸く真面な仕事に就いてくれたが、東京で何かしでかしたのか?と心配顔に成った。

舘山寺温泉の旅館に去年から勤めていると聞いて、二人は旅館橘に向かった。

森繁は刑事の訪問に驚いて「去年の事件の事ですか?」と尋ねる。

「何故?そう思った?」

「事件がまだ解決してないので、現場に戻れば。。。。と思っただけです」

「何故?貴方に聞きに来たと思いますか?」

「それは判りません」困惑な表情に成る。

「実は森繁さんが以前勤めていた風俗(品川ゴールド)の事を聞きたいと思いましてね」

「えっ、ここでは言わないで下さい、誰も知らないのでお願いします」

「はい、判りました!その店のお客で加山さんって客を覚えていますか?」

「加山さんですか?」しばらく考えて「長時間のおじさんですよね、その方が何か?」

「実はその加山さんが、桂木常務なのですよ」

「えーーーー」森繁の驚いた表情は二人も驚く程だった。

事情を聞くと、森繁は何度も加山と話しをして、女の子の好みとかを聞かれていたと言う。

「かつみさんと云う子を気に要って何度も呼ばれていましたね」

「そうです、加山さんは頭の良い子が好きで、かつみって子は私が面接しまして、家庭の事情で仕方無く風俗に来た感じで、ど素人の子でしたね!」森繁は意外と覚えているので、二人は何か重要な事を覚えているかも知れないと期待した。

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