第48話 うみのうえ

 海上。

 白く平らな建造物。

 旅獣の空間から出たところはおそらくあの海の……上、だった。

 白い街ではない。

 だが、ここにいればきっときつねはやってくる。

 そんな気がしていた。

「たぬきくん」

 ほら。

「来たか」

 上空から平らな床にふわりと降り立つきつね。

 同時に、機械たちが出現する。

「探しましたよ、どこにもいないんですから」

「それは、心配をかけたな」

「別に心配なんかしてませんよ。次の柱が行方不明となると世界の存続が危うくなるから探してただけです」

「はは」

「それで、あなたは柱になる気になってくれたんですか」

「……なった」

「なりましたか。それじゃあ、代替わりの最後の儀式を……」

「待ってくれ、その前に話がしたい」

「話ぃ? 今さら話すことなんてありませんよ」

「俺にはあるんだ」

「……」

 きつねが手をあげる。

 機械たちがす、と後ろに下がった。

「で、何ですか、話って」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る