• マイページ
  • 小説を探す
  • ネクスト
  • 書籍化作品
KADOKAWA Group
  • ログイン
  • 新規登録(無料)
名前のない

名前のない

伊島糸雨

おすすめレビュー

★で称える
★★★
★6
2人が評価しました
本文あり
日付が新しい順

本文ありのおすすめレビュー

  • 一田和樹
    291件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    生に対する諦念と苦しみがにじみ出している苦界の一風景を描いた佳作

    生きること、自分自身であること、社会の一員であること、性の対象であること……あらゆることが苦しみに変わります。ギリシャ神話のミダス王は触れるものを全て金に変えてしまいましたが、主人公は触れる世界を全て苦界の穢れに変えてしまうようです。その中の成員になりすまして生きなければならない宿命がどれほどつらいものなのかが伝わってきます。
    ウロボロスの蛇のように、あるいはメビウスの輪のように始まりも終わりもない世界で、うたかたの愛とやすらぎを得て、それから失望と裏切りの日常に戻る。その痛みが伝わってきました。

    • 2020年4月20日 21:16