第28話カミーユへ
他者に通じる言葉を失ったまま、ひとり黙して座っていると、カミーユ・クローデルの晩年を心のうちで何度もなぞることになる。奪われた恋も、失われた彫刻への情熱も、もはや憎悪となって身のうちを焦げ尽くし、焦土と化したその場に映るものすべてが醜さに傾いている。月も昏い。そして私もきっと歪んでしまうのだ。行き先のない隘路をひた走る感情をいやすために、かろうじて伸ばした指先の果てに、跪拝することもかなわぬ聖母を仰ぐために、憎しみとなった肉体は今輝きを放って、その隔たった原初の海を呼び起こす。
『ココア共和国』2023年1月落選作品
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます