第2260話 70枚目:発見と相談

 そこからしばらく近くを探索してみれば、出るわ出るわ装備の残骸が。ポーションが入っていた感じの空き瓶(割れていた)もあったし、もしかしてここは激しい戦闘があった場所だったのかもしれない。

 もちろんそれらの場所は全部メモを取って、見つけて調べても出来るだけ場所を動かさないようにしている。もしこれらの持ち主が生きていたら、勝手に持ち出すと怒られるかもしれないし。

 黒っぽい茂みが邪魔でそれなりに時間がかかってしまったが、無事4人とオートマップの共有が出来たようだ。その後で見つけた他の残骸の情報も順次届いているようだし、ここでちょっと相談タイムである。


『3本爪という事は、鳥系種族の可能性が高いですね。しかも爪を強化する方向となると、恐らくは猛禽類かと』

『森の上には何も無いと思ったけど、これ高いとこに避難してる鳥系種族がいる可能性がワンチャンなくね?』

『ありそうね。でも、この木はもれなく毒になるはずよ。だから他の種類の木をまず見つけないといけないと思うのだけど』

『……ヤドリギのように、この木に寄生してその上を覆う感じの植物がある、っていうのは無いでしょうか。それなら、その上でなら生活できそうな気もするんですけど』

『ありそうですね。問題は、下からではそういうのが全く分からないって事ですが』


 爪同士の間がしっかり開くし、可動範囲が広いしで、これは……と思っていたんだが、やっぱ鳥系種族だよな。がっつり掴めるようになってるし、これは絶対何かを掴んで物理的に締めてトドメを刺すやつ。と思っていたが、当たりだったらしい。

 そして何より鳥系って事は、空を飛ぶ。なら、何も無いと思っていた森の上、すっかり黒っぽい木で塞がれたその上に生存者がいる可能性はある。というか村の上までしっかり覆われていたってあたり、森が二層構造になっていてもおかしくない。

 ただそうなると、普通の人間種族に見える村人が、長期間、下手すれば一生日に当たっていなくても平気、って事になるんだが……まさか、吸血鬼系か? でもそれだと、森と村人で血の取り合いになるよなぁ。


『なー「第三候補」。そろそろじっとしてるのも面倒になって来たし、姿を晦ますのも兼ねて様子見してくるか? って提案が出てるんだけど』

『加減の出来ないエルルで、言葉が通じず、竜に対する態度も不明な相手と和睦を結ぶのは難易度が高いと思います』

『だよなぁ。あー、せめてこうなんつーか、他の人外種族に対する好感度が分かればなー』

『そこはちぃ姫や指揮者さんに任せないとどうにもならないわね……』

『そうですね……人間種族というだけで敵対されそうですし……』

『「第四候補」は【人化】を解かないと警戒されるのでは? 解いても種族によっては警戒されるでしょうけど』

『どうしてそれを今言うかな「第三候補」! そして容赦がない!』


 だって少なくとも身内の中で種族が分かってないの「第四候補」だけだし。正体不明なんだから辛口になるのは仕方ないだろう。隠し続けてる方が悪い。ここまで来てしまって、言いだすきっかけを失っているだけかも知れないが。

 ともかく、姿を晦ますという部分はまぁいいとして、その後はちょっと問題だ。確かにエルルなら少々攻撃されても大丈夫だろうし、この森とあの村人たちの「収穫」の様子を見る限り、人間種族に対するヘイトが高そうだから【人化】出来ないのはむしろプラスかもしれないが。

 そもそも言葉が通じない、という問題があるからな。後は、エルルはこのステージから見れば「異世界の『勇者』」である。邪神の『勇者』となったモンスターに散々苦しめられた、進化中のサーニャ防衛戦はまだ流石に忘れていない。


『まぁまぁ。様子見はともかく、エルルさんの脱出はした方が良いと思います。後は森の探索を進めて、毒を持つもの以外の植物を捜索。もし生き残りがいるとしても、いつもと違う動きがあると知れば、それこそ様子を見に来る可能性もあるでしょう』


 とりあえずその場はカバーさんがそうまとめてくれて、探索続行、という事になった。

 私もこの辺りはだいぶ探索できたし、そろそろ真っ直ぐ進んで森の端を探す方に戻るか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る