第1786話 61枚目:小休憩

「は? もう終わった?」

「おう。だから一緒に行くからな」

「ルージュ達の腕が上がっているのはともかく、休むように言いましたよね私」

「半時間も寝れば十分すぎる」


 十分ではないと思うんだけどなー???

 というのは一旦クランハウスの島に撤退し、インベントリの中身を整理。「欲し歪める異界の偶王」由来の素材は個人で建てた神殿で捧げものにして、案の定ポーションは在庫が心もとなかったので、1時間ぐらい生産作業を挟んでから再出撃、となった時だ。

 いや。いや、確かに。うちの子生産組が、私が戻ってきた途端に寄って来て、旗槍とヴェールカチューシャを持って行ったのは、ちょっとびっくりした。けどそれは本人達がスキルを鍛えてレベルを上げて、何なら試練で素材採取がてら種族レベルを上げた結果だから、それはいい。


「とうてい熟睡できたとは思えないのですが……」

「……睡眠薬で意識を落としたから、寝てはいたぞ」

「エルル。それは気絶って言うんです」


 それにしても、と思ったら、何をやってるんだ。それ以前に、エルルが状態異常の方の睡眠になってレジストまで半時間かかったって事は、ルディルが作った毒の中でも本気のやつじゃないか。本当に何をやってるんだ。

 が。一応、お風呂と睡眠、という私の命令は完遂したと言い張っているし、間違ってはいない。限りなくグレーゾーンだから、私の頭が痛いだけで。実際、戦力として考えるなら来てもらった方がありがたいのは確かだし。

 装備の方も、ヘルマちゃん達が手を抜く訳が無いんだよな。もちろん今何を相手にしているかも伝えているし、その上で装備が返されてるって事は、十分戦える状態だって事だ。


「しかし、流石に鎧の方は時間がかかるかと思ったんですけど。私も預けるのは戦いの合間だけですし」

「予備の鎧があったからな」

「そこから流用したんですか?」

「おおまかな形が出来てたから、微調整だけで済んだって話だ」


 …………。あぁ、あれか。見た目が学ランになる、バレンタインのミニイベントの時に新調したやつ。エルルは鎧を壊さないから時間がかかるかと思ったんだが、あの時に作ってた分、修理に必要な手間が減ったようだ。

 そもそも【人化】状態だと髪が伸びただけだが、ドラゴン本来の姿だと再びの成長期で大きくなっていってるもんな、エルル。それに合わせてまめに微調節してるだろうし、スキルレベルが上がれば作業自体も早くなる。なるほど。


「無理は禁物ですよ?」

「……」


 お嬢が言うな。と視線で訴えられたが、それはそれだ。とりあえず最前線に戻って、再びエルル、サーニャ、ルイシャンの組み合わせで突入する。地味にミニゲームが面倒だが、仕方ない。

 まぁ実際突入してみると、かなり負荷は軽くなっていた。どうやら儀式場を複数の部屋で設置しているようだ。そしてその周りの部屋は余裕をもって開けている。……ある程度離れていれば、間に部屋というか空間が補充されるのか。

 なお、今の所こちらでモンスターが出現したという話は無いらしい。そろそろ出てきてもおかしくないと思うんだけどな?


「で、結局相手の逃走経路は塞げたのか?」

「まだみたいですけど、もう一度はダメですからね。正攻法で押し込みますよ」

「……それは仕方ないが、なんでお嬢も前に出る側に入ってるんだ」

「儀式場を設置すると、周囲の空間がある程度勝手に回収されるんですよね。大部屋が作れないんです」

「直接攻撃出来ないのか?」

「床が無い上に負荷が酷いですからね。まだちょっと無理です。少なくとも、あと一段階は進めないとダメでしょうね」


 なお、少なくとも=最低でも、であり、それ以上に段階が無いとは言っていない。あと一段階、900個の部屋を繋げたところでシステムメールがくればいいなとは思ってるけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る