この作品には登場人物が多くいますが、一人ひとりが違った色を持っていて、一つも同じ輝きはありません。
違うからこそ寄り添いあって、違うからこそ背きあって、そうして誰もが自分の色を抱えて、必死に生きています。だからこそいとおしいと思います。
移り変わる季節の中、関係性の中で、ありありと浮かび上がる彼らの輪郭に、この物語を読む時間私たちは触れることができます。あたたかく、せつなく、するどく、真に迫ってきます。情景も時間も心情も、美しいです。堪らず人を愛したくなるし、今を愛したくなります。
超オススメです。星5つです。世界観の作り込みや、物語の構成も上手いです。折り紙付きです。とても面白いです。
『十草物語』のおすすめポイントは?と訊かれた場合、その答えは簡単です。なぜって、
「全部」
こう答えるより他ありませんから。
卑怯とも言えるほど秀逸な言葉選び。不穏な空気が漂いつつも、魅惑的で美しい世界観。随所に張り巡らされた伏線に、謎が謎を呼ぶ展開。圧倒的な筆力による情景・心理描写はとても丁寧で、読む者の心を掴んで放しません。キャラクターも皆魅力的で、知れば知るほど好きになっていきます。
意匠が凝らされたファンタジーを読みたい方。物語世界にどっぷり浸かり、じっくり考察しながら読み進めたい方。溢れんばかりの色や和の雰囲気に興味をお持ちの方。魅力あふれるキャラクターとその関係性に尊さを噛みしめたい方。ぜひ読んでみてください。
一言だけ忠告しておきます。一度ハマるともう後戻りはできませんので、どうぞそのおつもりで。