我が道を貫く、我らが英雄

 鎧の中のヒデオは、全身から力が抜けたようだった。巡査は、どうしたのかと心配になった。真実を知って、よっぽどショックだったのだろうと巡査は思った。同情さえした。(かわいそうな男だ――)


「大丈夫ですか?」

「も、もうさ……」ヒデオはフラフラしながら言った。「君は笑わせるよ。いや、呆れて笑いも出ないよ」

「と、言いますと?」

「幼児たちがワシをバカにしたかどうかは問題じゃないんだよ。結果として笑顔になってる。そうじゃろ?」

「そ、そうですね……」

「そこなんじゃよ。目的のためには手段を選ばず――これが騎士の中の騎士たる者のやり方なんじゃ。分かったかな?」

「……ま、ちょっと来てもらえますか?」


 その言葉を聞くと、我らが英雄は、鉄のひどく軋む音を立てて、迷わず確信を持って全速力で駆け出した。それによって発せられる音に、巡査も市民も子供たちも、耳を塞いで倒れこんだ。


 ――そして、我らが英雄は、その無理解な街をなんとか脱出した。笑顔をたくさん残して……。

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