27

ヤバイ。

ドキドキが半端なくなってきた。


触れそうな距離感に私の心臓はバクバクと音を立てた。

落ち着いて落ち着いて。

カメラの設定をしてもらってるだけなんだから。


「これで撮ってみて。」


「う、うん。」


言われてその場で撮ってみる。

カシャッと音がしたかと思うと、表示された画像はブレブレだった。


「ブレちゃった…。」


「そういうときは、こうする。」


瞬くんが後ろから私を抱きしめるような形で、スマホを持っている手の上から瞬くんの男らしい手が重なった。


えっえっえっえええっっっ!


「こうやって腕をピンと伸ばして、そのまま固定されたものに置いて…。」


ピンと伸ばした手を展望台の手すりに乗せて動かないように固定する。そのまま瞬くんがシャッターボタンを押した。


もう私は写真どころではない。

今置かれている状況に、心臓が口から飛び出そうになっている。


どうなってるの?

どうなってるの?

うわぁぁぁぁぁっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る