アフターストーリー 由紀と和志の場合➄ -新学期-

新学期。

"3年生になった"と言っても俺たちは変わらぬ日々を送っていた。

変わったところとしてはクラス替えで由紀も同じクラスになったことだ。

しかも出席番号順で決まった席は偶然にも隣同士。

正直嬉しい。隣を見ると由紀が居る。

何だか今年は良い事がありそうな気がする。


「俺達もいよいよ3年だな」

「だな。この面子でバスケ出来るのあと少しだ」


もちろん腐れ縁の笹原とも同じクラスだ。そして、


「でもさぁ美里ちゃんも芳江も川野辺高校行っちゃうんだもんなぁ。あの2人戦力になると思ってたんだけど。。。」

「俺も美里は森下に来ると思ってたんだけどね」


と日岡さんも同じクラス。

妹の美里とその幼馴染の葉山芳江ちゃんは川北中のバスケ部で中心選手だったんだよね。日岡さんも目を掛けてただけに残念だったみたいだ。

でも、そのほかの主力選手はほとんど森下に進学したし女子バスとしては十分なんじゃないか?


「あ、美里ちゃんと言えば平野君も川野辺行ったんでしょ?美里ちゃん追いかけて♪」

「・・・そうみたいだな」

「おやおや お兄様としては心配なのかな?妹ちゃんの彼氏候補でしょ?」

「平野は悪い奴じゃないと思うぜ」


と日岡さんに笹原。まぁ悪い奴ではないんだよな。ちょっと単純だけど・・・


「ま まぁ俺も平野が悪い奴だとは思ってないよ。ただなぁ美里の奴は仲が良い幼馴染の男友達くらいにしか見てないんだよな。

 あいつって人の恋愛事を見るのは好きなのに自分の事は鈍感だから・・・」

「それは・・・ちょっと平野も可哀そうだな」

「だな・・・」


でもまぁ平野も川野辺高校か。

あいつも男子バスケ部じゃ結構中心メンバだったんだよな。

横田の後を継いで得点率も高かったし・・・今年のインハイはより厳しくなるのかもな。


ちなみに夏川さんと横田とはクラスが分かれてしまった。だた2人は同じクラスになったみたいだからむしろあの2人には良かったのかもしれない。




「ねぇねぇ和君。この問題なんだけどわかる?」

「ん?これか?これはね・・・」


隣りの席でノートを開いていた由紀が話しかけてきた。

最近由紀は勉強を頑張っている。

以前は試験などのために追い立てられて仕方なくという感じだったけど、今は"和君と一緒の大学に進学したい"ということで頑張ってくれてるんだ。

僕が大学のレベルを落とすということももちろんできるんだけど、由紀としては僕の負担になりたくないということらしい。


今のところ僕は川野辺大学を目指している。

地元だし希望している学部もあるからね。

だから、由紀は大変かもしれないけど一緒に受験勉強も頑張っている。


「由紀ちゃん偉いよね。毎日ちゃんと勉強してるし」

「だな。これも和志への愛の力ってやつか・・・」

「へ 変な事言わないでよね・・そ その自分の為だよ。学部だって違うし」

「へぇ~そうなんだ。まぁ俺達就職組も呑気なことは言ってられないけどな」

「そうよねぇ。就職も厳しいって言うしね・・・」


笹原と日岡さんは卒業後は就職するんだそうだ。

笹原は自動車が好きということで整備関連、日岡さんは意外にも経理や事務系を目指しているらしい。

2人とも関連した資格は今年度内に取得を目指しているとの事。


そいう考えると同級生として一緒に過ごせるのもあと少し。

何だか寂しい気もするな。

特に笹原とはずっと一緒だったしな。

あ、でも田辺や小早川さんは川野辺大目指してるとか言ってたよな。

今度はあいつらと一緒にバスケしたりするのかな?

それも悪くない。

これから先俺もいろんな人と出会って、仕事について・・・

その時、隣に由紀が居てくれたりすると嬉しいな。


って気が早いか。


「ねぇ和君どうしたの?さっきからニヤニヤして」

「ん?何でもない。今日も帰ったら家で勉強会やるか?」

「うん。あっでも帰りにちょっと買い物に付き合って欲しいな。美里ちゃんに入学祝に何かプレゼント買ってあげたくて」

「そんなの気にしなくてもいいぞ」

「あ、私が贈りたいだけだから気にしなくていいよ。美里ちゃんは私にとっても妹みたいなもんだし高校入学は嬉しいのよ♪」

「そっか。ありがとな」


新学期のホームルームを終えた俺は由紀とバスに乗り川野辺駅前の商店街にある雑貨屋に入った。

最近出来た輸入雑貨のお店で都心にある大手ショップの提携店らしい。

女子に人気らしく由紀も夏川さんとバイト帰りに時々寄るんだそうだ。


「何を買うんだ?」

「うん。美里ちゃん髪が長いし学校行くときに使えるようなシュシュとかバレッタとかプレゼントしようかなって」


と由紀はアクセサリコーナーで色々と選び始めた。

何だか悪いなと思いつつ見ていると、ショーケースにあるリボン型のバレッタに目が留まった。

"由紀に似合いそうだな"

俺は美里のプレゼントを選んでいる由紀に気付かれないようにそっと商品を取りレジに向かった。


「あ、和君何処行ってたの? このシュシュにしようかと思うんだけどどうかな?」

「うん。いいんじゃないかな色も控えめで学校にもつけていけそうだよな」

「そうだよね。じゃこれにするね♪」


買い物を済ませた俺達は帰宅し俺の部屋で勉強会を始めた。

いや、部屋に2人きりだけど・・・ちゃんと勉強会だ。やましいことはない。


「ただいまぁ~」


明日の入学式に向けて美容院へ行っていた美里が帰ってきた。

式前日に行くとかもう少し余裕を持てよといつも言ってるんだけどな・・・


「どう!お兄ちゃん。いい感じでしょ?自分の妹とはいえ可愛いでしょ!」

「はいはい。可愛い可愛い」

「雑! あ、由紀ちゃんいらっしゃい!」

「お邪魔してます。相変わらず仲いいね。

 あ、美里ちゃん。これ入学祝。良かったら使ってね」

「え!なになに!貰っちゃっていいの?あけていい?」

「うん。私からの気持ち」


と美里は可愛くラッピングされた雑貨屋の袋を開けた。


「わぁ可愛い!由紀ちゃんありがとう!!」

「それなら学校につけていけるでしょ。川野辺高校でも頑張ってね!」

「うん!明日早速つけてくよ!」


嬉しそうに部屋に入っていく美里。


「良かったな喜んでくれて」

「うん。プレゼントした甲斐があったかな」

「でだ・・・・これ俺から由紀にプレゼントだ」

「え?私に?なんで?」

「彼女にプレゼント贈るのに理由とか良いだろ?

 さっきのお店で由紀に似合いそうだったからついな」

「ありがとう。何だかちょっと照れるね。そ その・・・似合うかな?」


照れながらもプレゼントした袋を開き入っていたバレッタを髪に着ける由紀。


「うん。思った通り似合ってるよ」

「ありがとう!私も明日から学校に着けてっちゃおうかな♪」


笑顔で喜ぶ由紀。

俺も幸せだ。


*********************

誤記がいくつかあったので修正しました(2020/7/24)

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