10.鮮やかに染まれ飴細工

「シェフ、この飴透明だけど、色は付けなくてもいいのかい?」


 厨房を覗いた店長は、不安そうに尋ねた。

 パーティ用の華やかな飴細工を作っているはずなのだが、シェフが引いている飴は、色の無い白い飴だったからだ。


「まあ、見ててください」


 シェフが飴をちぎり指先で伸ばすと、瞬く間に飴が鮮やかな赤色に染まった。

 感嘆の声を上げる店長の横で、飴は鮮やかな花に変わっていく。赤・白・ピンクのバラ、緑の茎や、青いリボン。

 やがて白い飴は艶やかで華やかなブーケに生まれ変わった。


「虹の欠片を飴に入れました。魔法菓子職人が扱えば、色は自由自在です」

「魔法菓子はやっぱりすごいねえ!」


 店長の言葉に、シェフは微かに照れ笑いを浮かべた。


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2017-05-06

#Twitter300字ss

お題:色


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